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93゚
(19)

 
あれから何日かしたけど、相変わらず皆の態度は変だった
 
しかも俺はなにも覚えてないし…どうすれば良いのか分かんなかった
 
ご飯も喉を通らない
 
「詩遠。診察に来たぞ」
 
あれから李以っていう医者が週に一回はやってくる
 
ただ心音を聞くだけらしい
 
「乱れてるな…」
 
「やっぱりですか」
 
來人さんが李以の言葉に頷く
 
良く分からなくて頭をななめにすると、來人さんが俺に目線を合わせた
 
「最近、なんかありましたか?」
 
「分かんない。皆よそよそしい。俺、なんかしたの?」
 
逆に質問されて來人は困っているようだった
 
あの日から志紅にも会ってない
 
幸慈には会っているし、話してもいるが…違和感を感じる
 
なにがなんだか分かんない…
 
「俺、なんかした?」
 
ドクンと心臓が跳ね上がった
 
そのとき、俺の部屋の窓が派手な音を上げ割れた
 
「なに…?怖いよ」
 
前にも増してキチンになったような気がする
 
來人さんは「大丈夫ですよ」って言ったけど、李以は険しい顔をしていた
 
すぐに幸慈が駆けつけ來人さんに事情を聞き、俺を抱き寄せた
 
幸慈の匂いに安心して身を任せると、李以が幸慈を呼ぶ
 
「…みんなして俺を避けるんだね」
 
無意識に言った言葉に自分でもビックリした
 
「もうわかんないよ…」
 
髪をグシャグシャにして倒れ込む
 

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