93゚
(18)
あれから何分経っただろうか…
俺にとっちゃ何時間にも感じれた
「ひっ…こーじ、やっ」
俺も糸が切れたように口から声が出てくる
早く、幸慈が来てくれるのを待ちながら、小さな快感を耐える
でも…来てくれなかったら?
「泣き顔…ヤバいな」
気付かぬ内に涙を流していたらしい
せめて、この手の縄が取れたら…
そう思ったとき、気持ち悪い男の顔が近付いてきた
「いあ゛ああぁあ!!」
そう叫んだ瞬間、またあの感覚…目の前が真っ暗になった
気付いたときには幸慈が傍にいて…周りは血の海だった――…
幸慈に聞いても誤魔化されて…來人さんに聞いても、遙さんに聞いても同じだった
志紅は俺と目を合わせようともしない
「こーじ…?」
頭に重みを感じて上を見れば幸慈の心配そうな顔
「もう寝ろ」
「こー「大丈夫だ」
そう言って俺に触れるだけのキスをした
自然と瞼は下りてきて…意識を飛ばした
そのときに志紅の悲しそうな顔が頭に残った
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