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93゚
(07)

 
「遙さん…どこにいるの……?」
 
適当に捜していても見付かるわけがなく、1人でブラブラしていた
 
見渡すと周りは薄暗く、人の気配が感じれなかった
 
怖くなって走り出そうとした瞬間…
 
「志紅君っ!?」
 
慌てるような愛しい人の声
 
「遙…さん」
 
走って遙さんの元へ行く
 
怖くて遙さんに抱き着くと、優しく抱き締めてくれた
 
「まったく…なんでこんな所にいるんですか?……久原の縄張りだったから良かったものの…はぁ…」
 
頭上から大きなため息が聞こえて、ビクッと身体が強張る
 
迷惑…だったかな……?
 
「俺…遙さんに謝り、たくて、ずっと捜して、たら…ふぇっ…うぅ〜…」
 
抱き着きながら泣いてしまい、冷静になった今としては凄く恥ずかしい格好だ
 
泣き止んだ…けど、顔あげらんない…
 
「取り敢えず、本家へ行きましょう…話しは車で良いですか?」
 
にっこり笑いながら頭を撫でてくれる
 
コクッ…
 
恥ずかしいと思いながらも頷いて、遙さんのスーツの裾を掴む
 
ピクッと遙さんが反応する
 
「…こ、わいから」
 
…なんて言ったけど本当は遙さんとの距離を、少しでも縮めたかったからなんだ
 
まだ一回しか乗っていない、遙さんの車の助手席に座る
 
遙さんがゆっくり車を出した
 

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