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93゚
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來人さんが戸惑っているのがわかったけど、それでもやめられなかった。罪悪感でいっぱいだった。スッと襖が開き、人が入ってきた。
 
「え、來人さん泣かせたの?」
 
「違いますよっ
"ごめんなさい"ってずっと…」
 
どうやら入ってきたのは詩遠らしい。顔…合わせずらいな。本当に僕はやってはいけないことをしてしまった。
 
詩遠が僕の隣に座る。ビクッと身体が震えて、笑えた。なんでだろう…あんなに愛おしかった詩遠が、今では怖い。
 
「大丈夫だって!!ほら、ピンピンしてるだろ?」
 
にこって笑って腕を僕に見せる。他にも傷付けたのに、僕を許そうとしてくれている。どうしてそんなに優しいの?
 
「"友達"」
 
いきなり來人さんが口を開いた。
 
「だからではないでしょうか?
詩遠くんは友達を大切にする、優しい方ですよ」
 
ちょっと、照れるじゃん。と詩遠は顔を染めて言う。また涙が出た。僕はなんて人と出会えたんだろう。
 
 
 
 
 
「ありがとう。詩遠」
 
めいいっぱいの感謝の気持ちを込めて、詩遠は笑ってくれた。姫は一度目を覚ましたけど、もう一度寝てしまったらしい。でも命に別状はないって。
 
姫の恋人らしき人にはすっごい怒られて、もうしないてください。と言われた。もちろん謝って、姫に会いにいった。寝ていたけど、心から謝罪した。
 
僕は大切な人と出会ったみたいだ。
 

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