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(12)
詩遠が首を振る。良く見ると、首輪と手錠がかけられていた。手首は擦れたのか…血がにじみでていた。
羽山が憂に注意している間に、唯が詩遠を連れだそうとまわりこんだ。俺が合図を送るとともに、茶月は羽山をおさえつける…つもりだった。
俺が合図を送ると、唯は走って詩遠の手を取った。……が反対の手が羽山の手と繋がっていた。
呆気にとられている唯をよそに、羽山は唯の手を離すように手首を切り付けた。
「ああーっ!!」
唯はすぐに離れて、切られた手首を押さえた。さらに羽山は、さっき痛めた右肩にナイフを伸ばした。
茶月が咄嗟に唯に抱き着いて、それを背中で受け止めた。
「……………っ、」
そのまま唯と一緒に床に倒れた。
「ゆい、さつき…?」
沙夜は意味がわからなくて、2人に近寄る。泣きながら床に座る。その背後から羽山が、みぞに蹴りをいれた。
「あぐ…っ」
その場でみぞを押さえて沙夜は倒れ込む。憂がキレるのは目に見えていた。けど…これじゃ憂まで…
「てめえ…っ!!」
案の定、憂は羽山に殴りかかる。俺は慌てて遙さんに電話をいれた。視線をあげたころには…憂は横腹を刺されていて。
目の前には羽山。
「あ、いや…」
「やめろ!!…これ以上誰も傷つけるな!!」
詩遠がそう叫ぶと、羽山は首をかしげた。"詩遠はそんなこと言わない""これは詩遠じゃない"1人言のようにそう言って、詩遠の肩を刺した。
「いあ゙ああ」
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