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(15)
「俺の親父は、今の俺と同じ歳に組長になったんだ
まぁ凄く荒れててな…その時、帛江さんと出会ったらしい。
俺は5歳ぐらいだったから覚えてねぇけど」
帛江さんとは、詩遠のおばぁちゃんの事だ
その名前が出ると詩遠の力は静まり、変形したコップが静かに机の上に落ちた
帛江さんは40歳で帛江さんの傍には、詩遠の母親…幸恵さんがいた
俺は良く親父の後に着いて、親父が人を殺していく様を間近で見ていた
帛江さんはそんな俺を見て親父に言った
『人を殺すなんてこと…してはいけません。
貴方の周りを見てご覧なさい
息子さんが可哀想です…こんな小さい頃から、血を見せてはいけません』
幸恵さんは俺の頭を撫でて、にっこり笑った
その笑顔があまりにも優しくて、俺はなぜか涙が出た
「親父にそんなことをして欲しくなかったんだろうな…」
やがて、幸恵さんは正孝さんに出会い結婚した
俺も式に参加した…もう幸恵さんは子を授かっていた
「幸恵さんは20歳でお前を産んだんだ」
「えっ…」
「生きていれば36歳になる」
そこでもまた驚く詩遠
生きていれば…という言葉に吃驚したのだろう
「幸恵さんは裏の世界では有名だった。
幸恵さんがいれば、一番になれると言われていた
俺はんなの興味なかったがな」
でも、ある会長の手から逃れられなかった
それが桜鳳会の会長だ
詩遠に手が届かぬように…帛江さんに詩遠を預けた
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