06
「痛っ」
『我慢してよ、ホラこっち向いて?』
「痛いもんは痛いんでさァ」
おじさんが持ってきてくれた救急箱でまず総悟の頬を消毒した。
酷く殴られたりした為、皮が剥けて中の赤い部分が見えている箇所もあった。
私は、そんなに殴られていない為、湿布程度でよかった。
『総悟、ごめんね。痛かったよね・・・?』
「もういいんでさァ、それより俺ァ美咲の事が心配でしてね」
『私は大丈夫、大丈夫だから・・・』
「・・・うん」
総悟はまた私を優しく包んでくれた。腕の中で静かに泣いた。
憎い・・・。憎いよ、おばさんが・・・。
ねぇ、どうしたら私達は幸せになれる?
どうしたらこの、悲劇から逃れられる?
『総悟、何時か私達は大きくなったらね?お金溜めて、二人だけで暮らそう』
「そりゃあ、いいですねィ。俺達が大人になったら二人で暮らしやしょう」
『約束ね?』
「約束でさァ」
結局、私の給料はおばさんに取られたままで・・・
でも、もういいんだ。
私達は大丈夫。きっと何時か二人で・・・
*後日
『きゃあっ』
「何してんのよ!」
私がおばさんの代わりに雄太くんと遊んでいた時、雄太くんが自分で積み木を崩してしまい、積み木の一つが雄太くんを直撃したのだった。
雄太くんは大泣きで、私は慌ててて・・・
そこへおばさんが来て、私に持っていた本を投げつけてきた。
『お、おばさん、雄太くん自分で積み木崩しちゃって・・・』
「嘘言わないで!貴方がやったんでしょ」
『痛っ』
未だに雄太くんは泣いている。何?何なの?
泣けばいいと思ってるの?
私はだんだん雄太くんが憎くなっていった。
お母さんに四六時中くっ付いて、ごはんも温かいのを食べて・・・
『雄太くんなんか・・・』
「美咲っ」
『そう・・ご?』
危なかった。総悟が私を止めてくれなかったら確実に言っていただろう。
《雄太くんなんか、死んじゃえばいいのに》って・・・
「約束破りやしたねィ」
「約束・・・?あぁ、あれね」
『約束って・・・』
「この子ね?自分はどれだけ殴られてもいい。ただし、貴方だけは殴らないでって、頭下げられてねぇ」
総悟が?私を庇う為に・・・?
私はどれだけ総悟を苦しめれば気が済むのだろう。
「俺を殴りなせェ、そのかわりもう二度と美咲を殴るんじゃねェ」
「そう、なら幾らでも殴ってあげるわよ」
おばさんはグーで総悟を殴り始めた。
それに、足も使って蹴っていた。
「っ!」
『そ、う・・ご?』
「ハァ、ハァ、これで満足かしら?」
「・・っ」
「痛そうねぇ、可哀想に・・」
『総悟っ』
「美咲?」
総悟は苦しそうに私の名前を呼んだ。
顔は腫れあがり、お中には沢山の痣があった。
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