07
お中に痣があるという事は、以前からもおばさんから虐待を受けていたって事。
総悟は私の為なんかに痛い思いをして・・・
どうして私達はこんな目に会わないといけないの?
『大丈夫?』
「美咲こそ、平気ですかィ?」
あの後私はおばさんの方を少しだけ睨んで、総悟を部屋まで運んできた。
そして、前におじさんが貸してくれた救急箱で総悟の傷を手当てした。
痛そうに顔をしかめていたが、手当てが終わると何時もの笑顔に戻った。
『前からおばさんの虐待受けてたの?』
「それは言えやせん・・・」
『そう、なら聞かないね』
私は笑った。笑いたい気分じゃないし、そんな雰囲気でもない。
でも笑った。そうしたら総悟も笑ってくれた。
総悟はとても悲しい笑顔だった。
その夜、また私達は泣いた。こうして夜になると私達は弱くなる。
すぐに涙を流してしまう。
でも夜に泣いた分、朝には涙を流さない。
辛くても、辛くても――・・
『ねぇ、バイト行かないの?』
私が総悟に聞いたのは、あの惨劇から1週間くらい経った後。
あれから一度もバイトには行ってない。
連絡も無しに休んでしまって、長谷川店長怒ってるかな?
総悟はあれからずっと悲しい顔で過ごしている。
ある日、またバイトを無断で休んだ。
その時、1階から電話が鳴る音が聞こえてきた。
するとおばさんが出たようだった。
でもその口調が怒っているようだった。
そして微かに聞こえた言葉・・・
「あの子達の事は知りません。バイトもクビにしちゃっていいですよ」
あの電話は長谷川店長からだったのかな?
おばさんに聞いてみても”友達よ”しか言ってくれなくて・・・
『ねぇ、総悟。バイト出よ?』
「そうですねィ、何時までも落ち込んでちゃいけねェや」
『そうだね』
次の日、私達はバイトに出た。
長谷川店長は怒ってなくて、むしろ心配してくれていた。
長谷川店長は私達の唯一の理解者で、今まであった事を洗いざらい話した。
すると長谷川店長は私達を優しく包んでくれた。
”よく頑張ったね”と言って。
そして私達は一生懸命働いた。
休んでいた分を取り戻すかのように。
そして、一人の銀髪のお客がコンビニに来た。
『いらっしゃいませ』
店長に言われたように、まずはあいさつ
銀髪だから不良かな、とか勝手に思っていた。
すると、その銀髪さんが何も持たずにレジへやってきた。
「おい、ねーちゃん。ジャンプねーのかよ」
『ジャンプ・・・ですか?』
ジャンプ・・・か。
そういえば、銀ちゃんがよく読んでたな。
懐かしい、と思いながら総悟に聞きに行った。
『ねぇ、総悟。ジャンプってもう無い?』
「・・・美咲、あれ」
総悟は目を丸くして銀髪さんの方を指差した。
銀髪さんは呑気に鼻をほじってたけど・・・
「・・・銀兄さん」
『・・・え?』
それが運命の出会いだったとは・・・
神様は私達の見方だった――・・
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