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アーザの火
3

「嬢ちゃんがいてもいなくても変わらんじゃろ。むしろ邪魔じゃ」
「……僕の羽根を使って下さい」
「要らん。儂のを使えば事足りるじゃろ」

 取り付く島もなく、断られるが

「でもッ!僕のせいですから、僕も彼を助けます!助けたいんですよッ!」

 
 扉越しに真白の言葉を聞いていた内海に疑問が生まれる。
 羽根を使うってどういう意味や?そもそも羽根というのは抜け落ちる髪の毛と同じような物で、普通はなんの価値もないのだから当然の疑問だった。
 ややあって、扉が再び開くと元在は真白を中へ招き入れる。

「……嬢ちゃん、こいつらは軍服着とるし軍人なんじゃろ。詳しくは知らないが、そうまでして助けたいのならもう勝手になさい」
「はい!ありがとうございます」

 国定をベットに寝かせると、真白は狭い室内で翼を広げ始めた。

「な…?!あいつは何をしてるんや?」
「黙って見てるんじゃ。ほら、始まるぞい」

 黒い色の真白の翼はみるみる内に――透明感のある光り輝く虹色に変化していた。
 それはとても神秘的な光景で、内海はこんな翼の色を持つ人間を生まれて初めて目にした。
 どちらかといえば白翼に近い色だが、白翼とも違う種族なのが一目瞭然だった。

「あいつ…いや、じいさん、あんたら一体何者や?黒翼でも白翼でもないんやろ?」

 元在は答える気はないと言わんばかりに内海の言葉を無視し、真白に話しかける。

「嬢ちゃん、儂の血を……」

 真白は虹色に光る自身の翼から羽根を数枚もいでいく。羽根が抜かれた箇所からは血が滲んでいた。
 はらはらと綺麗な羽根が地面に舞い落ちる。

「いえ、僕の血で良いですよ。元在さん、イーリスのナイフは有ります?僕は屋敷でさっき使っちゃって……もう残ってないんですよね」
「ちょ!待てや!自分らの言ってる事がよう分からんのやけど」

 部屋の棚の中にある引き出しからイーリスのナイフを真白に手渡すと、元在は内海を一瞥する。

「本来、赤血球には抗原と抗体があって、そやつが例えばB型の血液型ならA型の血は輸血できん。
それぐらい黒翼でも分かるじゃろ?

だが、儂らのこの羽根には、常識を覆す奇跡を起こす力が宿っているんじゃよ。


この羽根の力を使えば、どんな血液だろうと拒否反応や合併症といったあらゆる副作用は絶対に起こらないし、
イーリスのナイフで切った血も使えば、ほんの少量で輸血もできる。

さらに、通常よりも何倍も早く回復できるんじゃ」

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あきゅろす。
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