名前を 「みんな、おはようございまーす!」 「おはよう、ござい、…ます!」 「お、はようござ、い、ます!!」 先生のあいさつに、幼児達は辿々しい口調で返事を返した。……うん、純粋だ。 「恭弥くーん、お返事はー?」 僕の隣にしゃがみ込む先生。 ………………………。 「おはようございます。」 それだけ返して、僕は歩き出した。後ろのほうで、きっと引きつった表情になっている先生を振り返らないで。 驚くよね、普通幼児はあんなハッキリ発音できないもの。 ジャー……。 静かに音を立てて流れていく手洗いの水道水。 ハンカチを取り出して手に付着した水分を拭う。 「……………恭弥くん、か…。」 手すりのようなものに手を付き、俯きながら僕は呟く。 ジャー……。 未だに流れ続けている水。 それと似たような液体が、僕の頬をツゥ…、と滑り落ちる。 それは、ポツリと、ゆっくり水道水に吸収されていった。 「僕を……雲雀恭弥って、呼ばないで……っ。」 また、頬が濡れた。 [*書類整理][咬み殺す#] [戻る] |