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「「「さいしょーはグー!じゃーんけーんポン!!」」」
「わぁ、ケンちゃんが鬼だぁー!」
「じゅう数えてねー!!」
「みんなにげろー!」
「きゃーっ」
一人の男の子を残し、他のみんなが散り散りになって逃げていく。
「いーち、にーぃ、さーぁん、……………………きゅーう、じゅう!いくよぉー!」
数え終わったのか、鬼の男の子は一番近くにいる子を狙い、追いかけていく。
そんな光景を、僕はずっと見ていた。
「れんちゃん捕まえたぁーっ」
「きゃぁっ!みっくん早いよぉ〜」
「えー、でもゆうきくんのほうが早いよぉー?」
「俺〜?」
名を呼び合い、互いを褒め合う子ども達。
僕は、ただただそれを見つめ、想う。
羨ましい。名前を呼ばれるのが。
前世では、僕の名前は和泉恭。
けれど、今の僕は雲雀恭弥。
…それは、漫画の名前…。
僕にとって、僕の本当の名前は和泉恭なんだ…。
だけど、この世界では、僕の名前を呼んでくれる人は、いない。
みんな、雲雀恭弥としか、呼んでくれない…。
だから、名前を呼ばれている、草食動物が、
「羨ましい……。」
「何がだ?」
「―――ひっ!?」
突然した声に驚きながらも、僕は声の主を見るべく、振り返る。
[*書類整理][咬み殺す#]
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