1/1 ザク、ザク、 土を踏みしめる度に鳴る音は寒さの証、暗闇にチラチラと、折れた霜柱が輝く。 土の後は芝で、大きく開けたそこは人工の光からも少々離れるせいか、星がいつもより多く見えた。 空を仰いでアポロは白い息を吐き出した。 冷えた静かな夜。 と言ってもやはり街の方は賑やかなのだろう。 楽しそうにはしゃぐ教え子達の顔を思い浮かべて、少し笑う。祭り好きの彼等のことだ。 きっとまた騒いでいるに違いない。 そんなことを考えながら、靴の底で芝生を撫でた。 人の声が聞こえた。 気のせいか? しかし夜空の下確かに近付いてくるそれは何人かのざわめきで。 もしかしたら。 脳裏に浮かぶと同時に、彼等と目が合った。 「あれ?誰かいねぇか」 「え」 「あ」 「嘘」 「監督ー!!!」 真っ先に声をあげた人物は、敬愛する飼い主を見付けた犬のごとくアポロに跳ね寄った。 夜闇から、歯の白さが雫れる。 それに続く面々も、見慣れた、どころか、見飽きた、くらいの若者達だった。 「お前達…どうしてこんな所に」 「いやむしろそれこっちの台詞っス」 長めの金髪をマフラーにしまい込んだホーマーが言う。 「僕ら去年も一昨年もここ来たんですよ。みんなで」 「パンサーが夜中に行こうとか言うから」 先程真っ先に近付いてきた人物、パンサーを見ると、えへへと照れたように笑っている。 「だって、やっぱり挨拶しときたいじゃないですか」 なるほどな。 アポロが呟くとパンサーが尋ねる。 「監督もですか?」 「俺は別に…」 「別に?」 「…………そんなところだ」 その言葉を聞いて、パンサーの顔には更に笑みが広がった。 「毎年本当は、"みんな"でやりたかったんですよ。やっと揃いました」 「よーし、一列に並べ並べ。さっさとやっちまうぞ」 ごそごそと動き始めた一同を見てパンサーが言う。 「監督もやりますか?」 「揃ってやりたかったんだろう。協力くらいはしてやる」 パンサーの隣に立つと嬉しそうに笑う。 寒い夜更けのフィールドに、人影が連なる。 一年の始まりに。 「せーのっ、」 今年もよろしくお願いします! END *************** 明けましておめでとうございます。 ネタは気に入ったんだが文があうあうあー 本年もよろしくお願いします。 |