その他
A Happy New Year…? [原斎・土沖]
元日の朝。
普段通りの起床時間、普段通りの行動、そして、普段通りの朝食時間を守るため、
斎藤は広間へ向かっていた。
「さーいとーう!」
「…左之か、どうした。」
「ちょっと付いてこい!」
「は…?おい、左之!」
廊下の角を曲がったところで原田に出会し、
ナゼカ手を握られ、何処かへ連行される。
朝食にはまだ時間があり、断る理由も無いため、されるがままに引かれていく。
──カラッ…
「よし、着いた。」
「…左之、なぜ俺があんたの部屋に連れてこられなければいけない?」
「堅いこと言うなっての。
寒いだろ、とりあえず座れよ。」
手で示された座布団に、おずおずと座る。
つい先日来たばかりの部屋なのだが、何故か落ち着かない。
原田が襖を閉める音を聞きながら、何をするわけでなくじっとしていると。
「さーいと。」
「っ!?な、何をする、左之…」
座っている斎藤を包む形で、原田は抱きついてきた。
離さない…という明確な意志のある行動だが、
その中に、壊れ物を扱うような優しさがあることに、斎藤は気づいていた。
「特に用はねぇけどよ…。
年明けて最初に会ったのがお前だっていうのに、なんか感動してな。
こうやって、ぎゅーってしてやりたくなった。」
「…そう、か…」
微かな抵抗をやめ、自分の両側から伸びる逞しい腕に、そっと手を添える。
「奇遇だな。…俺が新年に最初にあったのも、あんただ。」
「そうか、嬉しいな。」
「………あ、ぁ…」
恥ずかしさから小さくなる声を聞き、満足した原田は、
力加減を考慮し、先程よりも強く抱き締める。
「俺、正月だからって特別なもんは何にもいらねぇから、
とりあえず斎藤と一緒に居てぇな。」
「そうだな。何処かへ行くでもなく、のんびりして過ごすのも、たまにはいいかもしれないな。」
そう言った斎藤は、原田の両腕を退け、自身がくるりと後ろを向く。
向かい合う形になり、先程とは違い、正面から抱きすくめられる。
「好きだぜ斎藤。今年も宜しくな。」
「あぁ。今年も、俺の全てであんたを愛そう。」
静かに口付けを交わす。
暫くして離れたお互いの顔には、新年最初の、
幸せな笑顔が浮かんでいた。
…静かな正月も、たまには良いだろう。
──一方その頃…
ばたばたばた…
「土方さん!」
「うおっ!…なんだ、総司か。」
「なんだ、じゃないですよ!まったく…
寝正月で過ごす気ですか、僕を放っておいて。」
襖を盛大に開け、布団の横で騒ぐ総司。
そんな総司を適当にあしらう気分でもなく、
珍しく普通に応対してやる。
「…って、ちょっと待て。
寝正月は確かにまずいが、最後の"僕を放っておいて"ってのはどういうこった。」
「え?…あ…」
…どうやら、無意識に発していた言葉だったらしい。
自分の発した言葉を反芻し、総司は顔を真っ赤にして、土方から顔を背ける。
そんな様子に、はっきりと目の覚めた土方は、にやりとした笑みを浮かべ、
背を向けている総司を、後ろから抱き締めてやる。
「うわ…な、なんですか土方さん…」
「なんだ、構って欲しいんじゃなかったのか?」
「っ!ち、違いますよ!」
「ほーう…じゃあ、離していいか?」
「…っ、嫌…です…」
抵抗していた体が、静止する。
気分を良くした土方は、総司が苦しくないように、抱き締め直してやる。
「…いつもそうしてりゃ、可愛いげがあるのにな。」
「悪かったですね、いつも反抗してばっかの犬みたいで!」
「いや、犬よりは猫って感じだぞ、お前。」
「そんな話してないですよ!」
朝から元気なこった…
最近、仕事ばっかで構ってやれてなかったからな…
今日くらいはゆっくり、うるさい猫と戯れてやるか。
…騒がしい正月も、たまには良いだろう。
*2013 0101*
。.゜A Happy New Year゜.。
明けましておめでとうございます!
皆様、どんな年末年始をお過ごしでしたでしょうか…
今年も変わらず、黒バスと薄桜鬼の小説を更新していきたいと思います!
本年度も、どうぞよろしくお願いいたします(*^^*)
青浪流
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