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夏ホラーレビュー
古川まこと「僕の日常」
どうして、残ってしまったのだろう。どうして、残してしまったのだろう。
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 主人公はごく普通に、日常を暮らしている。いつもと変わらない日常のはずなのに、そんな僕に彼女はまったく気付いてくれない。
 主人公の、彼女へのまっすぐな愛情を感じる設定から始まるこの物語。あらすじを読んでもうピンと来た方はいらっしゃると思う。そう、これは幽霊の物語だ。
 だがしかし残念ながら、幽霊であることの怖さに震える物語では、ない。この作品は明らかに、純愛の物語であり、究極のラブストーリーなのだ。
 ホラー作品というものは時に、怖いという感情以外にも笑いといった感情を与えてくれる。調味料と同じだ。スイカに塩をまぶすとぐっと甘味がますように、ピリリと辛く冷たい恐怖の力によって、強い影響力を持ったものとなる。この作品がもつラブストーリーの側面はまさにそれで、恐怖によって研ぎ澄まされ、なんとも瑞々しく純粋無垢なラブストーリーへと進化しているのだ。
 よくよく考えてみるととてつもなく怖いはずなのに、何故か胸が切なく痛む。ホラーとしては異色だ、だがそれが良い。

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あきゅろす。
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