夏ホラーレビュー 美咲 菫「冥界パレード」 どこまでも、どこまでもこのパレードは続く 読む パレードと聞くと、なんだかわくわくするものだ。ぞろぞろと何かが移動してゆく。それは普段はみることの出来ないものだから。 だが、本当に、本当にそうだろうか。考えてみると、自分たちがパレードをしていないという確証は無いのではないだろうか。 そんな問いかけを、瑞々しい文章と共に捧ぐ、それが冥界パレードだ。 親友のエリと主人公はいつも一緒にいる。ある日の朝、猫の死体を見つけた日から、どうもエリの様子がおかしいと思うのだが。 人は自分を視点にして様々なことを考える。自分は一人だからパレードはしていないだろうという絶対的な自信を持つことがある。だが自分という視点は、パレードという大きく包括的な視点からみれば酷く矮小で頼りないのだ。 本当にパレードをしていないのか。本当に自分は観客なのか。 不気味な問いかけは、自分と言う根源さえ壊してしまう。それはとても怖く、空しい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |