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貧乏学生の本田があらわれた!
フランシスは逃げられた

さて、いつもならネットカフェに逃げ込むところですが本当にお金がありません。
これは手頃な段ボールでも拾って、高架下に…

「歩き回っていると補導されますし…」



「おっ、見つけた。…『本田 菊』ちゃん?」

後ろから、間伸びしたような声が聞こえて。菊は緊張しながら振り返ります。
そこにいたのは、フランシスだったのですが菊は面識は有りません。

当然、警戒心が跳ね上がりました。

「…どちら様でしょうか、なぜ私の名前を」


フランシスはスーツを着ていたので、菊はホストとはまた違う『スーツ』の集団を想像して身構えます。
そんな事とは梅雨知らず、フランシスは肩を竦めました。

「あっ、そうね…あの時は寝てたしね…。名前はさ、ほら『置いていった』でしょ?」

「……っ!」

学生証を『置いていった』とフランシスは言ったのですが、動揺している菊には伝わりません。
記憶の淵から、嫌な冷気が菊の身体を包んでいきます。


「あいつ、あてもなく探し回ってるからさー。お兄さんはホラ、賢いからね大学じゃないかなーって目をつけたのよね!」

「大学…なぜ…ばれてしまっ……
…もう、居れないのですか…」

菊の身体が震えました。



ーーー菊くん、

ーーーねぇ、菊くん


幻聴でも、今は真実味を帯びた声がしました。


『ずっと、此処にいてね』

「……っあぁああぁああ!!」


「えっ、ちょっ」


弾かれるように、菊は走り出してしまい。不意を突かれたフランシスは置いて行かれてしまいました。
唖然としながらも、様子が変だった事に気が付きとにかくギルに電話をしました。


「あっ、もしもし?!なんか、菊ちゃん見つけたんだけど、すごい勢いで逃げらちゃっ………あー!もう、うるせぇよ!駅前の方!ビルいっぱいある南側!もう、ちゃんと営業前に帰っ……

あのヤロウ切りやがった!?」

口を尖らせながら、フランシスは携帯端末をしまいます。慣れないことするもんじゃないわー…と頭を掻きながら、開店時間に間に合うように急ぎ足で店に戻るフランシスでした。



一方そのころ、宛もなく走っているように見えた菊でしたが、ある目的を持って彼は走っていました。



予備校の近くまで、なんとか辿りついて。気持ち悪さに堪えきれずに側溝に吐き出します。

あぁ、ルートさんごめんなさい。


泣きながら、菊は咳き込み道路に座り込みました。人通りはそこそこあるので、通行人からチラチラと見られます。

疲れて、俯いていると。



「…そんなとこで座っとると迷惑やけ退け」



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