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貧乏学生の本田があらわれた!
フェリはおねだりをした

癒しの時間であるサークル活動も終わりを告げて、フェリシアーノが「お腹空いたよー」と切なげにルートの服をひっぱっていた。

「むう…まぁ、今月の給料も入った事だしな…本田も今日は一緒に」

「お気持ちは大変うれしいのですが…」

そうです。
財布どころか貯金すらもすっからかんなのです。せっかく、天使たちが誘ってくれているのに歯痒いですが致し方ありません。

すると、フェリシアーノが菊の手を取りました。

「え〜!一緒に食べに行こうよぅ!?菊、最近顔色悪いからちゃんと食べてるかなって心配だったんだよ…」

フェリシアーノの、一片の曇りのない潤んだ瞳を前にして菊は眩しさに目を細めて、しかし首をふります。
引かない二人に、ルートが提案をしました。

「前に、本田が飯を奢ってくれたじゃないか。どうだろう、今日はそのお返しという事にして…」

「そんな!前にも言いましたが私…二十八ですよ?!現役の学生に奢ってもらうなんて…」

菊は、真実を話したのですが。

「またまたぁ!菊がジョーク言うなんて今日はお祝いしなきゃ〜」
「全くだ、本田もたまには冗談を言うんだな」

即座に冗談として、二人には取られてしまいました。
頑なに拒否する菊を尻目に、二人の晩ご飯の話は着々と進んでいきます。


「十歳くらい離れてるんですよ…?」


「今日はイタリアンでいいよね〜!全俺が賛成でありますー!」
「ふむ、いいだろう。ちょうどクーポンがあるようだしな」

携帯端末をいじりながら、ルートがうなづいた。そして、直ぐに店に電話をし「三人で頼む!」と聞こえよがしに予約を取り付けてしまいました。

結局、大学近くのイタリアンで夕飯になり、菊は最初こそ申し訳なさげでしたがイタリアン自体はものすごく美味しそうに食べていたので他二人はニヨニヨとそれを見ていたのでした。


「ねぇ〜菊も一緒に住もうよ〜、俺のベッド半分貸すからさ〜」
「おい、そのお前のベッドは俺のベッドのことか」
「ヴェ、じゃあさーキングサイズのベッド買おう!それで、みんなで一緒にシエスタしようよ〜」

菊は内心、ロマンスを繰り出せそうなくらい嬉しかったのですが寮の規則は一室二人までですし、寮長のバッシュさんが見逃してくれるとは考えづらいです。

「……考えて置きます」

否定し辛いので、とりあえず今回は言葉を濁す事にしました。
今日のところは、お開きになり二人は残念そうに寮に戻って行きました。



見送った菊は、さぁ私も帰りますかね…と考えてから。



もう、帰る家は無かったと肩を落としました。







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