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オトンとオカンと
成長関ヶ原編
成長関ヶ原編


熱に意識が朦朧としていると、視界の隅に銀の髪がちらついた。
ああ、佐吉ですねとは鵺子理解してその頭を撫でながら「風邪が移りますので早く出て行ってくださいね」と諭す。

無言のまま、佐吉は頭を撫でられているようで。

少し違和感を覚えた鵺子は視界をはっきりさせるためにメガネを掛けた。



「………」

「あ……れ……?」


そこにいたのは、確かに佐吉のはずだが。大分大人である。下手したらその、自分と同じかそれ以上。

「さ、きち?」

「……そうだ、だから寝ていろ」



「それはないだろう、みつな……佐吉」

「家康ぅうっ!!」

水桶を片手に現れたのは、竹千代の面影がある青年で…いや、家康と呼ばれているようだが一体…

こちらが混乱しているのを察してか、ニコニコしながら竹千代らしき青年は水桶を床に置いてまくら脇に座り混んだ。ちょうど、佐吉と対象になるように。

「ダメじゃないか三成、病人の前だぞ」

「減らず口を……貴様がそこで息をしている事で鵺子が吸う空気が汚れると理解しているのか…!!」

「ん?それなら三成も一緒に出て行くか?」

「私には貴様と違い、鵺子の許しが出ている。見るがいい、この手を!!」

佐吉が勝ち誇った顔で、鵺子が先程まで撫でていた手を掴み竹千代に見せつける。すると、竹千代は笑顔のまま、鵺子の手を掴み頬に当てるようにした。

「うん、大分熱は引いておるようだな」
「貴ぃいい様ぁぁあぁあぁ!!?」

「や、ちょっ、ストップ!持ちません!私と釈が持ちません!!」


なんなんだ。
なんなんだこの状況は。

竹千代はこんな好青年になって、佐吉は自己主張が出来るようになって、嬉しい反面なんか複雑ですがそれより。



「て、手を離して下さいぃい…」

耐えられない。
昔から佐助と小十郎以外の男性とコミュニケーションとった事ないのにこんなボディタッチとか、いえ佐吉と竹千代と思えばいいんですがそう思うにはふたりとも…

理由を察したらしい竹千代が、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。


「なんだ?鵺子は儂らに看病されるのは嫌か?」

「訂正しろ家康、鵺子は貴様に触れられるのが苦痛だと言ったのだ、早急にその手を離せ!そして首を垂れろ、床に頭をつけて謝罪しろ」

「三成は要求が多いなぁ!儂はもの覚えが悪いからひとつにしてくれないか」

「去ね」


そんな言葉の応酬を聞きながら、鵺子はぐったりと瞼を閉じーーーふとお腹の辺りに重みを感じて目を開くと。
そこにはいつも通りの佐吉と竹千代が、鵺子の手を握ったまま眠りについていて。


鵺子は少し、微笑んでから。


「佐助ー!小十郎ー!私の部屋を完全隔離してくれといったのに!早く容疑者確保ーー!手洗いうがい徹底!お願いしまーーす!」


業務連絡は欠かさないのであった。





夢オチか。

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あきゅろす。
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