Subsequent Descent
2
「何で、それを?」
慶喜がそう尋ねると、紅蓮は愉快そうに笑った後に呟く。
「気づかないなんて、ナンセンスだよ。 僕は君と戦ったし協力もしたのに」
「――え?」
戦った? 協力、した?
しかし慶喜は彼を知らない。
一体誰だ。
まさか今の発言は前世について?
そう考えた彼はハッとした。
マーレリングを持っており、自分に手を貸してくれた人物のいるファミリーを。
「――ミルフィオーレ?」
「そ。 もうわかるんじゃないの? ――綱吉君」
「っ!」
綱吉を知っている。
これでもう確信した。
左目の下に、ダイヤを横に三つ並べたようなマーク。
その話し方。
重なるのは綱吉が苦戦し、しかし彼の力強い味方にもなった、あの男。
「白、蘭?」
慶喜が頭に浮かんだ名を言うと、いつの間にかその目の前に立っていた紅蓮が肩を掴んだ。
「ビンゴ。 ――あ、タルボさん。 どれくらいかかりそうですか? このリングの修復」
いきなり肩から手を離したかと思えば、タルボに話しかける紅蓮。
話し掛けられた彼はあごに手を当て、首を小さく捻った後に口を開く。
「ふむ、それほどはかからんじゃろうな。 ただ、直るかどうかは慶喜、お前さんの覚悟次第じゃ」
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