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12(ナレーター視点)
 しばらくしても、黒ずくめの男達が捕まったという連絡は入らなかった。
それを待ち続けてイライラしているのか当主が口を開く。

「おい、お前達も捜索に向かえ」

彼は書斎内にいる6人の兵士に声をかけるが、彼等は動かなかった。
それどころか自分達の主である男爵とその家族に剣先を向けたのだ。

「っ」
「おい貴様ら! 何のつもりだ!?」

娘は息を呑み、息子はいきり立った。
しかしそんな彼を宥めるように夫人が動く。

「落ち着きなさい、リヒト」
「そうだぞ――主に反旗を翻すか。 黒ずくめの入れ知恵か?」

男爵の問いを聞いて1人が剣を下ろした。
ホッとした彼等に、その兵士が追い撃ちをかける。

「残念だが――」

直後、兵士達の周りに藍色の霧が立ち込めた。
それが晴れると4人は目を見開く。

「――入れ知恵じゃねぇ、本人だ」

その場には銃を下げたXANXUSと、それぞれの武器を構えたヴァリアーの幹部達が立っていた。

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