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馬があう2
仕事も終わり、更衣室で着替えていると肩を叩かれた。顔を向けると見知った顔。
「お疲れ!今日ご飯どう?」
「ごめーん、先約あり」
ちぇ、と唇を尖らせる同僚に苦笑しながら、ごめん、と謝罪する。
また今度ね、と言おうと顔を見るとニヤニヤしているので、嫌な感じはしたが尋ねてみると。
「デートでしょー」
やっぱり…と思っていたことが当たり、眉間に力が入る。
デートじゃないし、と返事をしつつ、ロッカーの扉を閉めた。
「違うわよ、彼氏いないもの」
「えー、じゃあよくご飯いってる人は?」
イケメンだよねー、何て言いながらリップを塗っている同僚に苦笑しつつ、知らぬが仏、と心の中で呟いた。
職場を出るとプッとクラクションを鳴らされる。見慣れた車を見つけたので、手を上げながらそちらの方へ歩いていき、お待たせー、と言って車に乗り込む。何が食べたい?任せる、なんて会話をしながら外の景色を眺めていた。
食事も終わり、後はデザートだ、と楽しみにしながら待っている。と、ふとさっきの同僚の言葉を思い出した。
気がつかないものねー、なんて思いながら目の前でコーヒーを飲んでいる男を見る。
今までヒソカとは何回も食事に行ったことはある。が、あのピエロ姿ではなく化粧をとった姿、でだ。(髪もおろしてる)
なので、外で同僚と会っても皆がみんな一緒にいる男がヒソカとは気づかない。
まあ、私としても知られて、無駄に騒がれるのは不本意だし。(ていうかめんどくさい)
その点では助かっている。
「どうかしたのかい」
人の顔をジーッとみて、と笑いながら尋ねてきたので、
「あんたの、オンとオフが違いすぎるって話よ」
と、正直に話せば、納得した、というようにまたコーヒーに口を付ける。
今のヒソカは化粧をとって髪もおろしてるので、それだけでも別人に見えるが、服装もあのいつものふざけたピエロ姿ではない。
グレーのジャケットの中には白のシャツ、下はジーンズというかなりシンプルな服装だ。
(何回も言うがあのふざけたピエロ姿ではない)
最初はその変わりようにビックリして人違いかと思っていたが、話せばヒソカだった、うん。
などと、失礼なことを考えていたら、また頬っぺたを引っ張られた。いたい…
頬っぺたを擦っていると店員さんがデザートを運んできた。
私はモンブラン。ヒソカはチーズケーキだ。
意外とこの男は甘党らしく、どことなく嬉しそうだ。ちなみに私は大好きだ。
モンブランを半分食べたところでチーズケーキも食べたくなったのでヒソカのを一口もらった。(うん、満足)
(ホントに一口かい……?)
(え?)
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