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酒は呑んでも呑まれるな!2
「ワイン?」
テーブルの上に置かれたビンはどうやらワインのようだ。
お酒好きの私としては嬉しい。さっきの飲み会も飲み足りなかったし。ヒソカのせいで。
へえ〜、とちょっと気分が上がり、ビンを手に取り見てみると
「うぇ!ロマネ.コンティ!!?」
「そう」
開いた口が塞がらない…思わず変な奇声を出してしまった。今私は相当まぬけな顔だろう。ヒソカを見るとクックックと笑っている。
「うん、思った通りのリアクションだね」
「どどどどうしたのこれ…」
「あはは、ちょっとした報酬で貰ってね」
私の反応が可笑しかったのか珍しく声に出して笑っている。
報酬でって何やったのよ、とまたビンに視線を落とし何年ものだろうと見てみると
今度は声にならないくらいびっくりした…
この年って確か天災とかですごく不作で、例年の半分しか生産できなかった年だ。つまり、すごく高い。
「気がついたかい?」
声をかけられ顔をあげると、いたずらが成功したような笑顔をうかべたヒソカがこっちを見ていた。
「あんたの機嫌が良い理由がようやくわかったわ」
「君こそさすがだ、よく気がついたね」
この男、私と同じくらいに中々の酒好きなのだ。よく一緒に飲むが、ヒソカの勧めるお酒はどれも美味しい。
私は、お酒は大好きだがざる、というほど強くはない。まあまあ、強いくらいだ。
その点ヒソカはとても強い。うわばみだ。いつも飲む量は半端ないのに酔っているのを見たことがないのだ。
そんなお酒大好きなヒソカがこれを手にいれて機嫌が良くならないわけがない。
さあ、飲もうといつの間に取ったのかグラスを2個テーブルに置いているヒソカを見てワインを渡す。
それを慣れた手つきであけ、コルクの匂いをかぐ。その姿は何だかとても様になっていて、ついじっと見つめていると、それに気づいたヒソカがこっちを見た。
ふっと声に出さず笑うとコルクを私の鼻に近づけてくるので、反射的に匂いを嗅ごうと身を乗り出す。
「いい匂い」
「だろう?」
すごく良い匂いで何回もクンクン嗅いでいると、かぎすぎ、と鼻にコルクを押し当てられた。ブタ鼻になった…
ヒソカに蹴りをいれながら、早く注いでと急かす。はいはい、とまた慣れた手つきでグラスに注がれていく赤い液体をみながらどんな味だろう、とドキドキした。
(飲みすぎた…頭いたい……何であんたは大丈夫なのよ…)
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