Novel
ただ、君を想う(6)
木暮は心の隅でそう思い、ズレた眼鏡をかけ直しながら三井の質問には律儀に答えた。
「今日は、ケガ人の様子とかもみると思うし、多分自主練だよ。」
「・・・そうか」
申し訳なさそうに、少しだけ子犬みたいにシュン、とうなだれながら、三井は言った。
「三井も来いよ?じゃないと、水戸たちに失礼だからな」
・・・その、水戸とやらに1番殴られたんだか・・・、そう言いかけて三井は止め、代わりに小さく息を吐き出した。
「あぁ、ちゃんと行くよ。・・・でも・・・・・」
「・・・・でも?」
17の男にしては、ひどく可愛らしい仕草で首を傾げる木暮にの姿に、理性を保つのに葛藤しつつ、三井は続けた。
「髪、切ってからな」
三井の決意した表情に、木暮はとても嬉しそうに微笑み、頷いた。
*End*
2006.4.9.
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