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なぁ、ハニー。君は今、幸せかい?
俺が、部に戻ってから迎えた最初の月曜が間もなく終わろうとしていた。
「よし、では今日の練習はここまでとする」
俺がいない間にすっかりキャプテンらしくなってしまった赤木が、重々しい声でそう言って練習にキリをつけた。
「・・・・・・」
久々の感覚に、肩を震わせながら俺はゆっくり瞳を閉じる。
「あーしたっ!!」
あぁ、俺はまた、この場所に帰って来たんだ。
「・・・三井っ」
まだ少したどたどしく、木暮が俺の名前を呼んだ。
「おぅ」
俺はようやく瞳を開き、振り返った。
「お疲れ」
・・・一体どれ程長い時間、俺はこの笑顔を手放していたのだろう。
少しの悲しみと、自分への苛立ちと、しかしそれに勝る幸福を胸に、俺は返事をした。
「・・・あぁ。」
「木暮さん、お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「あぁ、気を付けて帰れよ、お前ら」
「ハイ、失礼します」
「三井さんも、お疲れ様です」
「・・・・え?あ、あぁ」
慣れた口調で後輩たちに挨拶をされていた木暮を横目に、バッシュの紐を解いていた俺は、その後輩たちに不意に声を掛けられ、妙にぎこちない返事をしてしまった。
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