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Novel
スタートが始まる前に
例のバスケ部襲撃事件の後、傷だらけになった三井は、木暮の付添いで保健室のご厄介となった。
自業自得とはいえ、ケガ人を放って置く訳にもいかず、しかし最後まで傷の手当てを拒んだ三井をここまで連れてくるのもまた、大変な苦労を要した。
三井が嫌がるのも無理はない。あれだけの騒ぎを起こしたのだ、今はまだ、部員とか顔を合わせるのは気まずいものがあるだろう。
気を利かせ、最後のケガ人であった安田が無事に保健室を後にしたのを何度か確認してから、木暮は渋る三井を半ば無理矢理に促した。
「ほーら、もう誰もいないから、な。」
まるで、幼い子どもを言いくるめる様で、何だか可笑しくて木暮は微笑んだ。
来るのはあんなに拒んだくせに、でも実際ここまで来てしまったからには、三井も大人しくなった。
まだ少しバツの悪そうな、それでもどこか申し訳なさそうな顔をしていることに変わりはなかった、が。
「滲みるけど、ガマンしろよ」
木暮は、慣れた手付きで、しかし丁寧に三井の傷をひとつひとつ消毒し、手当てをした。
「・・・っ痛」

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あきゅろす。
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