空を見上げて
標的6 その4
「…また十手か」
雲雀は感心したような顔でトンファーをどけた。
『レオン、ありがとう』
カメレオンに戻ったレオンの背中を撫でると気持ちよさそうに目を細める。
「君…並中に来ないかい?」
『えっと…何で“中学”?』
またか…と思いながらも聞き返す。
「君、中学生じゃなかったの?もしかしてあの身のこなしで小学生?」
『………』
マジな方で首を捻っている雲雀を見ると哀しくなってきて、深いため息をついてしまった。
「…?赤ん坊、彼女は?」
「桐谷 柚。……高校一年生だ」
「ワォ…、高校一年生。中学一年生ではなくて」
目を点にする風紀委員長とニヤリと笑う家庭教師。
この世界…というか、今の雲雀にかなり違和感を感じるのは私だけではないだろう。
『あのさ、そりゃ身長は低いから中学生に見えるかもしれないけど、れっきとした高校生です』
「だとしても、中学生で通せるか…」
『ちょっと…人の話聞いてますか?』
考え込む雲雀に少し怒りを込めて言うが、本人は私の言葉など、どこ吹く風のようだ。
「並中に柚を入れるなら、2‐Aにしといてくれ」
「分かったよ。制服は今日中に沢田家へ送る」
「頼んだぞ」
「あぁ。…明日から登校するように言っといて」
そんな話し声を右から左へと聞き流しながら、私は横で頭を抱えるのだった。
〜標的6 END〜
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