空を見上げて
標的6 その3
ビックリして雲雀の視線を追うと確かにリボーンがいた。
『いったい、いつから…』
「お汁粉の缶を見て、柚の顔がニヤついていた時からだぞ」
ニヤついていたって、そんな事は無いと思いたい。
というか、ほぼ最初から?!
『居たなら助けて欲しかった…』
「ワォ…、君にそんな必要あったのかい?」
リボーンに向かっていったつもりだったのに、雲雀から言葉が返ってくる。
「缶を使って気を逸らし、その隙に逃げようと思っていたんだろ。アイツらみたいな群れはそれで十分だよ。後はその辺に居る風紀委員に言ってもらえば、こっちが咬み殺すし。」
『た、確かにそうしようと思っていたけど、分かり易かったら意味ないなー…』
我ながら良いアイデアだと思ったのに、こうもバレてしまっては次から使えない。
50M、7秒03とまだ足に自信があったから思い付いたものだ。
「そうでもないぞ。あそこまで微妙な体重移動は余程の奴しか分からないから大丈夫だ。それ以上に次からは逃げないで倒せ。もし逃げたりしたら一食抜きだからな」
『無駄な闘いはしたくないし嫌だ。それに一食抜きなんて、奈々さんが許してくれないと思うけど』
理不尽なセリフに間髪を入れずに言い返すが、綺麗にスルーされる。
「…本当、君って面白いね。初め見たときは草食動物。逃げようとしているときは肉食動物。そして今も“勝てない”なんて一言も言ってない。」
う゛…、痛い所を突いてくる。
『言ってないけど、私は肉食動物ではないよ。どちらかというと草食動物。というか普通の人間だよ』
「ふーん。そう言うなら…」
納得していない顔から一瞬で怪しい笑みを浮かべる雲雀。
背筋にゾクリという感覚が走る。
瞬時にリボーンの帽子に乗っているレオンを手に乗せ『十手』と呟く。
その十手(レオン)を構えると同時にしびれるほどの衝撃が両腕を走る。
『痛っ……』
多少の衝撃には道場で慣れていたつもりだったけど、そんなのの比ではない。
これが並中喧嘩ランキングNO.1の風紀委員長というところか…
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