[携帯モード] [URL送信]

loNG THE PRINCE OF TENNIS dreAM
0-2

しばらく先輩たちの練習を見ていると、コート内にいる先輩たちとは違うジャージを着た先輩たちが入ってきた。



「(へぇー。あれが青学ジャージかぁ…

…くーっ!かっこいいぜ!!俺もいつかあのジャージ、着てみてぇよなー、着てみてぇよ!!)」


俺はその場で、1人で興奮していた。















その時──

『すいませーん!遅れましたー!!』



不意に声が聞こえた。

女の人の声だ。





「藍羅!早く来いよー!!」

『はーい!』



藍羅と呼ばれたその人は、先輩たちの元へ駆けていく。

こっちからじゃ顔は見えないけど、藍色の長く、サラサラな揺れる髪を見て、きっと綺麗な人なんだろうな。と思った。

藍羅って人は、今一緒に話している先輩が着てる青学ジャージを着ている。


「(マネージャーか?)」

ふと思う。





少し話をすると、藍羅先輩(…でいいか)を残して、男の先輩は行ってしまった。

藍羅先輩は話し相手がいなくなったからか、コート内をゆっくりと歩き回る。


だがその間も、先輩の顔が見えることはない。





すると、先輩がふと顔を上げた。

さらに、ずっと様子を見ていた俺と視線がぶつかる。










































──俺は動けなかった

──俺は喋れなかった

──俺は瞬きすら出来なかった



──俺はそのあまりの美しさに、息さえも止まるかと思った










「ぁ…」

やっと口に言葉を出すことが出来ても、それはとても小さなものだった。



すると、こっちを見ていた藍羅先輩が、突然俺の方に向かって歩いてきた。

「!!!」

俺はどうしたらいいか分からなくなって、それこそ金縛りにあったみたいに動けなかった。










『ねぇ?』

「ぇ…あ、は、はい!?」

…少し声が裏返ってしまった。


『そんなに緊張しなくても大丈夫よ!

えっと…私は、2年の羽山藍羅。
あなたもしかして、入部希望者?』


俺はやっぱりまだ落ち着かないものの、なんとか必至に答えた。

「あ、はい!テニス部に入部希望の1年、桃城武ッス!!」

『そっかぁ、やっぱり!なんか“スポーツマン”って顔してるものね!』

「そ、そっスか?」


『えぇ!

…あ、ところで桃城、君……』


そこまで言うと、藍羅先輩は言葉を止めてしまった。

…が、またすぐに顔を上げてこっちを見た。


「どうしたんスか?」

『うーん……ねぇ?』

「はい?」

『“桃城君”じゃなくて、“武”って呼んでもいい?』


「………は?」

俺はいきなりすぎて、反応が少し遅くなった。


『なーんか、“桃城君”って堅苦しいでしょ?だから“武”って呼んでいい?
っていうか呼ばせて?』

先輩が真っ直ぐ俺の方を見て言うから、さすがにその視線に耐えられなくて、なんとか言葉を発した。


「は、はい!ぜひぜひ呼んでください!!」

『クスッ。何よ、“ぜひぜひ”って?』

「いや、あの…」


ヤバい。
緊張しすぎて頭までおかしくなっちまったか?

あ、もともとか!



………自分で言うと悲しいな。。。





『じゃあ、武!』

「う、あ、はい!!」

『私、そろそろ練習に戻らなくちゃいけないの。またあとで話しましょ?』

「え…練習?」


なんで練習に戻るんだ?

マネージャーの練習か?



…どんな練習だ?





「どんな練習ッスか?」


『え?…あぁ、えっと…

筋トレはもちろんだし、ランニングとか、打ち合いなんかもするわよ!』


「えぇ!?マネージャーもそんなことするんスか!!?」

びっくりだぜ。。。



『マネージャー?

……あぁ!違う、違う!マネージャーの練習じゃなくて…』



やっぱりあるのか、マネージャーの練習…

まぁいいけど…




『マネージャーの練習じゃなくて、


選手としての練習よ!』







……………え?


“選手として”……?










「選手って…ここ、男子テニス部ッスよね?」

『そうよ』

「じゃあ、なんで…」


『私ね、1年のとき…去年、スカウトされたのよ』

「…スカウト?」


『そう。男子テニス部の先輩たちに。

もともとは女子テニス部に入ったんだけど、なんか試合をして、部長さんに勝っちゃってね…ι

いつの間にかその噂が流れて、男子テニス部の先輩たちの耳に入って…声をかけられたの』



…驚きだ。

そんなこと出来んのか?




「試合とか、するんスか?」

『当然よ!選手として入ったのに、試合しないでどうするの?』

「でも、男子テニス部ッスよ…?」


『……私も正直言って、どうするんだろう?って思ったわ。女子が男子の方でテニス出来るのか?って…

でも、スミレちゃんが上手くやってくれたのよ』


「スミレちゃん…?」


『ウチの顧問よ。竜崎スミレ。スミレちゃんが、私のことを上手くテニス協会に伝えてくれて…

「特別に許可します」って、最終的に言ってくれたみたい』


「へぇー……」








─俺はその話を聞いて、思った


─戦いたい


─試合してみたい。藍羅先輩と……


─俺は素直にそう思った












『じゃあ、武。私はこれd「試合…」…え?』



「俺、試合してみたいッス。先輩と…」

『武…』


「…………」

『…………』


「……………」

『……………』


「………………」

『………………』


「…………………」

『…………………





いいわ』



「え…?」

『やりましょう?…試合』





[*前へ][次へ#]

2/7ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!