loNG THE PRINCE OF TENNIS dreAM
0-1
Genius 007 二人のリョーマ
ランキング戦──
今、やたらと盛り上がっているコートがある。
手塚、大石の試合をしているコートだ。
互いに必至で打ち返している。
「フッ」
「フッ」
「ひゃあー!この間のリョーマ君の試合にもビックリしたけど、中学生のテニスってこんなにレベル高いんですか?」
「凄いだろ?都内でもトップクラスの学校の一つだからな」
「えぇ?じゃあ、ほかにも?」
「あぁ、あるさ。お互いにしのぎを削りあって、どんどんレベルが上がっている」
「競争相手に恵まれているんですねー」
『それは学内にも言えますよ』
「えっ?」
「あぁ!藍羅ちゃん!」
『どうも』
「ねぇ、学内でも…って、どういうこと?」
『私たちは、他校とだけじゃなくて、部内でも、常に競争意識を持っているんです。
たとえば、秀一郎』
大石の方を指差す。
「「ん?」」
『秀一郎も、国光っていう競争相手がいることで、また一段と力をつけてきたんです。
でも、国光はまだまだあんなものじゃない。いずれ、本当の力が見られるかもしれません。
国光のおかげで私たち青学は、あの王者と言われている立海大附属中にも挑めそうな、いいチームになってきているんです。
期待の1年生君もいるし。
今年は強いですよ!』
「そうか。それじゃ、期待しておこうかな?」
『はい!』
「手塚君、素敵vV」
『えっ?』
「何考えてんだ?お前」
『ふふふ…
あ、じゃあ私は行きますね』
「あぁ。試合、頑張ってくれよ!」
『あ、もう終わってます!
レギュラー入り、確定でーす!』
手をふりながら去っていった。
「え…」
「リョーマ君の試合、まだ始まらないの?」
「もうそろそろだろ?」
「リョーマ君、いつもと変わらないね。緊張とかしてないみたい」
『リョーマが緊張するような子には、見えないけど?』
「「「うわっ!!」」」
「藍羅先輩…」
『ごめん、ごめん。驚かせちゃった?』
「いやいや、大丈夫っス!!俺の心臓は、固ーーーい岩のようなものですから。そう簡単には壊れませんよ!」
「ドーーン!!!」
「ぅわどひゃえーーすっ!!」
おもいっきり飛び跳ねて、カツオとカチローの後ろに隠れる堀尾。
「なんでぃ!ビビってんじゃねーか!!」
「も、桃ちゃん先輩!」
「桃ちゃんでいいって!」
「「「桃ちゃん……」」」
「呼べないっス!」
「ハハハハ!気にしなくていいのに!」
「あ、それより、越前の次の対戦相手って、3年の乾先輩っスよね?」
『そうよ』
「乾先輩のこと、教えてください!」
『貞治は3年の中でも強いわ。ここ半年間、レギュラーから外れたことないし』
「ちなみに…
俺は苦手だ」
「「「………ι」」」
「何しろ乾先輩は…「おい、桃!」
『?』
「あっ!英二先輩!!」
「おチビちゃんの試合見てんの?」
「これからッスよ、越前の試合」
「お前、今から試合だよ。俺と」
「えぇっ!?うそ!もう時間でしたっけ?」
「ここで越前の試合見ていたいんなら、デフォ負けでもいいけど?」
「英二先輩、冗談キツイッスよ!試合やりますよ!!」
「残念、無念、また来週ってね〜」
「ああっ!待ってくださいよ!俺、試合やりますってば!せんぱーい!!」
菊丸のあとを追って、桃城は行ってしまった。。
「結局…」
「乾先輩の話聞けなかった…」
「…あれ?藍羅先輩は?」
「そういえば…」
「あ、来たよ!」
どこかへ行っていた藍羅が戻って来た。
「先輩、どこ行ってたんスか?」
『ちょっと、牛乳を買いに、ねvV』
そう言って、藍羅は、ビニール袋に入った20個以上の牛乳パックを見せた。
「へ〜、牛乳を………
って、こんなに飲むんスか!!?」
「すごい量…」
『何言ってるの?足りないくらいよ!』
「「「えぇっ!?」」」
『本当なら、家からもっと持ってくるはずだったんだけど、保存庫にあんまりなくてね…
…仕方ないから、校内で買うことにしたのよ』
淡々と説明する藍羅。
その途中で、牛乳パックを一つ取りだし、ストローを挿して飲みだす。
「あの…藍羅先輩?」
『ん?』
「保存庫って、一体…?」
『あぁ…
私が牛乳好きだから、いつでも飲めるように。って、作らせたのよ』
「作らせた…って?」
『あれ?言ってなかった?
ウチってね、財閥なのよ』
「「「ざ、財閥ぅーー!!!??」」」
『えぇ』
「じ、じゃあ、藍羅先輩の家は、金持ちってことですか!?」
『そう…なる、わね』
「家とか、どんな感じなんスか?」
『大したことないわ。普通の家よ』
「えっ、そうなんですか?」
『うん。
あ、だったら今度、ウチに招待するわよ!』
「えっ!?マジッスか?」
『ぜひ来てちょうだい!楽しみにしてるわ』
「「はい!!」」
「ありがとうございます!!」
『クスッ…
あ、来たみたいよ!』
「「「えっ?」」」
『今回の、リョーマの対戦相手…』
乾がコート内に入る。
「待たせたね」
「乾先輩…」
『…………』
「お互い、悔いの残らない試合にしよう」
「ども」
「いよいよだな」
「うん。あの長身からどんな球が…」
「なーに、どんな球が来たって、リョーマ君なら大丈夫だって!」
『……………』
乾がサーブを打つ。
それをリョーマが打ち返す。
「よし!」
「あっ!!」
だが、乾もそれを打ち返す。
「プレイに無駄がない!」
乾の打ったボールは、リョーマのコート内に入った。
「15-0」
「乾先輩が先制した!」
「もしかして、ボールの方向が読まれてた?」
「まさか!たまたまだろ?」
「だよね。たしかに乾先輩はお手本のようなプレイスタイルだけど、海堂先輩のスネイクの方が断然凄かったもんね!」
「そうそう。乾先輩のサーブは速いけど、速さも角度も、越前の方が上だよ!」
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