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・雑記
僕は君を守り続けるだけ





いつ部屋の掃除をしたかも忘れてしまった。いつベッドのシーツを取り替えたかも忘れてしまった。

もう長いことこうして布団にくるまれうずくまっている気がする。
何度も理由なく涙し、冷たく濡れたシーツに顔を擦り付けた。



…―ガチャ

鍵を開ける音の後に玄関が開く音がした。
眩しい太陽の光が射し込み、今が昼間なのだと分かった。
重いまぶたを開くと日光が瞳に刺すような痛さを浴びせ、目を開けている事すら億劫だと感じさせる。



「…カナ。」
逆光に照らされたシュウは、名前を呼ぶと同時に玄関を閉め部屋に踏みいる。
部屋はカーテンを締め切っていて薄暗く、そこら中にゴミやポストから出し放置されたチラシや日用品が散らばっていた。


「カナ、大丈夫?コンビニでパンと飲み物買ってきたから。…食べられる?」

シュウはベッドに歩みよりうずくまるカナの隣に座ると、呼び掛けても返答しないカナの頭を優しく撫でた。


「…………胃が…痛い、の。」
しばらくするとカナは振り絞るように声を出した。
やっとこちらを見た瞳からは涙が溢れ、腫れたまぶたを見れば繰り返し泣き晴らしたのだと予想がついた。



「痛いよお……」

苦しそうな掠れ声が胃の痛みの強さを物語っていた。


「大丈夫?ほら、こっちおいで」

シュウはカナに向かって両手を広げた。






 

「痛いよおおお…!もうやだあああ!ううっ…うわああん!!!」

カナは広げられたシュウの腕の中に飛び込むと、糸が切れたように泣きじゃくり始めた。



「怖いのッ…!外に出るのも、人に会うのも、…ひっく…何も上手く行かな、の!どうしたら、…どうじだら、いいの……ッッ!?」



「うん、辛いね。よく我慢したね。…大丈夫。好きなだけ泣いていいから。」



もはや何を喋っているかも分からない程泣きじゃくるカナを、シュウは強く抱き締める。


どこかへ消えてしまわないように、
守りたい気持ちを形にするように、
カナが泣き止むまでその小さく震える背中を撫で続けた。







 

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