彼の優しさ
悠くんに手を引かれ、ゆっくりと立ち上がる。
「砂糖…どうしよ」
床に散乱する砂糖を見つめ、深いため息を吐いた。
掃除機ですいとるべき?それとも、ホウキではくべき?
悩んでいると悠くんが床にしゃがみこみ、手で砂糖をかき集め始めた。
「あ…」
「砂糖は後日買って返しますね」
「え、いいよ!私が悪いんだし」
スリッパで滑る私が馬鹿なわけだしね。
「そんなことないです。とにかく、俺が買って返しますね!」
な、なんて律儀な…!!
不意に床に目線を移すと、砂糖をかき集めている悠くんの手の甲が赤いことに気付いた。
もしかして、私を庇ったせいで…床に打ち付けたの?
「…っ、ありがとう」
怪我してまでも守ってくれるだなんて…優しい人なんだな。
「いえ、砂糖散らばせちゃったの俺なんで…」
「じゃなくてっ!その…庇ってくれて、助けてくれて、ありがとう…」
恥ずかしくて俯くものの、黙り込む悠くんが気になり小さく覗き見た。
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