ドラキュラ
「実は、母に無理矢理こんな格好にさせられて…」
悠くんは恥ずかしそうに隠れていた顔以外の部分を公開した。
「変、ですよね…」
黒いマントに身を包み、口にはやたらにデカイ牙。
悠くんが動く度に真っ赤なマントの裏地が見え隠れする。
どうやらドラキュラみたいだ…
「その格好で歩いてきたの?」
「いや…母に無理矢理車に押し込められてここまで連れてこられました」
「お、おつかれ」
お互いめちゃくちゃな母親をもつと大変だな…。
「じゃ、行ってくるわねー!」
いつの間にかお洒落な格好のお母さんがリビングに入ってきた。
「どこ行くの!?」
「ショッピングよ!悠くん、ゆっくりしていってねぇ」
控え目に悠くんが会釈した。
最初から二人っきりにさせるつもりだったのか…。
「今日はみんな遅いみたいだからイチャついても平気だからね!」
「はぁ!?」
「ドラキュラに襲われちゃいなさい!ふふっ」
お母さんは意地悪く笑うと、ウインクをしてきた。
「ふざけな…」
「お小遣い」
「う…」
くそう…ここで逆らったら来月発売のゲームが買えない!!
「熱い休日を過ごしなさいねー!」
ヒラヒラと手を振って、お母さんは出掛けていった。
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