違和感
私が抵抗を諦めてその場に座ったと同時に、家のチャイムが鳴った。
「あら!悠くんだわ!!」
…え、悠くん?
──って!!
「はぁ!?なんで悠くんが家に来んのよ!!」
「はいはーい!」
私の話を無視して、お母さんは玄関の方へ走っていった。
一体、何企んでるんだか…
ちゃんとした会話は聞こえないが、うるさいくらいのお母さんの声と弱々しい悠くんの声が途切れ途切れ、玄関から聞こえてくる。
「お、おじゃまします」
悠くんはリビングにひょっこりと顔を覗かせた。
「あ、いらっしゃい」
軽く頭を下げてから、私は悠くんの顔をじっと見つめた。
「あの…」
悠くんは不思議そうに私を何度も上から下に見渡す。
「…はい?」
「どこかに行かれるんですか?」
「は?」
「だって…その格好」
いやいや、むしろこの格好で外には出れません!!
「まぁ、事情はあとで説明するとして…私も質問良いですか?」
「あ、はい。どうぞ」
キョトンとした表情の悠くんを指差して、苦笑いをする。
「牙なんてありましたっけ?」
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