余計な事を言うな。
「お待たせ致しました」
俺が注文して10分ほどして料理が運ばれてきた。
「うめー!」
「相変わらず美味いな」
「悠。味わって食べなよ」
美味しそうに食べる3人を、周りは微笑ましい…という感じで見ている。
もちろん俺の事は見ていないがな。
俺もパキリ、と割り箸を割って熱々のラーメンを食べ始める。
うん。美味しい。
「………」
ふと視線を感じて、顔を上げると和緋がこっちを見ていた。
「和緋?どうした?」
「…左利き?」
…しまった。
右で食えば良かった…こいつの知っている俺は左右で飯を食う。
元々左利きだったが、両方使えた方が便利と思った俺は右も使えるようにした。
つまり両利き。
「あ、ああ。左だ」
「え?楓って両き「…………」ッッむごっ!」
余計な事を言いそうになった連夜の口に無言でラーメンの卵を押し込んだ。
周りから悲鳴が上がったが無視。
「楓…お前、何やってんだ…?」
「気にするな。連夜に卵をあげたかったんだよ」
「もぐわがんばいべぼまびあほううぇ(よく分かんないけどありがとう)」
「ぁあ」
「…楓って不思議ちゃんだなー」
言葉は爽やかなのにめちゃくちゃ怪訝そうな顔してこっち見てる…
やばい、さすがに怪しすぎたか。
ちっ…同室者とは厄介だな。
意地でも隠し通してやる。
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