side:颯斗 うーん…みんな頑張ってますねぇ… 楓ちゃん見てくれてるんでしょうか? それにしても…楓ちゃんったら最近ますますSになってきましたね〜 あの蔑んだ目には正直ゾクリときました… 僕はMじゃないはずなんですけど…楓ちゃん限定でMになりそうです。 『おおーっとォ!?先頭を走っていた選手のスピードが段々落ちてきたー!!』 『序盤から飛ばしすぎたのでしょうね』 僕の前を走っていた2人の息が上がりはじめた。 (そろそろスピードを上げましょうかね…) あと100m。 前を走るのは1人…うまくいけば1位になれるかもしれない。 楓ちゃんに褒めてもらえるかも…? そう思うと顔が緩んできた。 「きゃん!!」 ガッ… 「――――え、」 ドシャア!! 『あーーっとォオ!!先頭を走っていた神宮寺が転倒ー!!倒れた神宮寺に躓き、雅も釣られて地面へ倒れたぁああぁああ!!!』 『その隙に次々と2人を抜いていきます!!』 な、何が起こって… 「あら、ごめんなさい?雅くん…?」 「貴方は…」 …親衛隊の伝令塔……神宮寺流麗。 神流からの命令をそのまま全親衛隊に伝える大役を任された重鎮… ムサイ男はもちろんの事、親衛隊のほとんどがこの人をマドンナと呼び、崇めている。 (この人は…危ない……) 確信はない。 だけど神流とゆう人物は決して表へ出てこない。 疑うな、と言う方が無理な話だ…神流の正体は多分……… 「…大丈夫、ですか?神宮寺先輩…」 「…優しいのね…あら……雅くん怪我しているわよ」 「……え、いやこの程度なら大丈夫ですよ」 神宮寺に言われて腕を見ると擦り傷ができていた。 (転んだ時の…) 「血が少し出てるわよ…ちょっと見せてちょうだいな」 「いえ、大丈夫で……………ぐぁ……!!」 「……………クス…馬鹿な男…」 僕が言い終わる前に神宮寺が僕の傷にその長く尖った爪を立てた。 まるでえぐる様に爪を食い込ませる。 「な、なにを……!!い゙っ…!!」 「私の恨みはこんなものじゃないわ…」 恨み…? この人は何を言っているんですか… 『ゴォォーール!!4番目を走っていたCDクラスがまさかの1位ー!!』 「私のモノに近付いたあの忌ま忌ましい男……………貴方も可哀相に……」 「………!!」 神宮寺は食い込ませた爪を離し、立ち上がる。 「…貴方たちの為にも…北条楓を壊してあげるわ……」 僕たちの…ため………? 『これはどうした事だー!?神宮寺と一緒に転倒した雅がピクリとも動かないー!!』 『足でも捻ったのでしょうか?……あ、今、走り出しました!』 それはつまり…僕たちのせいで楓ちゃんが壊れる…? 僕たちの………せいで…… [*前へ][次へ#] [戻る] |