[携帯モード] [URL送信]
目を逸らしたら負けだと思うからさ。




「……藍原!?」



ヌンチャクで次々と薙ぎ倒していく柚に驚いたが、柚の騎馬である男を見て納得した。


あいつは『FALLEN LEAVES』の幹部…つまり和緋の部下だ。


どうゆう経路かは分からないが、柚は藍原に修行をつけてもらったのだろう。
何故ヌンチャクなのかは不思議だが…有り難い。




「柚くん強くなったねー!!」


「…ヌンチャクには突っ込まんのか連夜……」


「大人の事情なんじゃない?」



どんな事情だよ。



「楓、楓!!柚の騎馬の奴!!アレ俺のチームの奴だぜ!!まじかよこの学園だったのかー!!」


「へぇ…そりゃ偶然だな」


「だよな!!おーい!!負けんじゃねぇぞムッツリーー!!」



和緋は藍原に気付くと声を張り上げて応援し始めた。

…ムッツリは可哀相だからやめてやれよ。



「あの子って峰岸の部下だったんだ〜」


「1年には見えんな……縮め」


「悠…本音が出てるよ」


「頑張れーーーー!!!!」



和緋の懸命な応援が藍原に届いたのか、不意に藍原がコチラを向いた。

総長である和緋の存在に気付くと軽く会釈をして、今度は俺に視線を向けてくる。



(…………?)




細められたその目はまるで俺に探りを入れる様な視線だった。

だが敵意もなければ悪意もない。



そして俺と藍原は、お互い目を逸らさない。













「――――――――」








さすがに競技中によそ見をさせるのは良くないと思い、俺は声には出さず、口パクで藍原に話し掛けた。

意味が分かったのか、驚いた顔をして小さく頷いた。



口元が僅かに緩んでいたのは多分、気のせいじゃない。






[*前へ][次へ#]

24/163ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!