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side:柚




すごい緊張してる…


手を開くと汗がベッタリついちゃうくらいに。

ドクドクと、心臓がものすごく速く動いているくらいに、緊張してる。



(でも…)




楽しみにしているボクがいる。









『1年生競技"騎馬戦"――――始めっっ!!!!』








――パァン!!!!









離れている筈の宇野先輩達の声と銃声は、ボクにはとても近くにいる様に聞こえた。

それぞれ、先頭にいた騎馬が勢いよく飛び出すとそれに続き、流れるように騎馬が走り出す。




「行くぜ!柚!」


「うん!」



そしてボク達も走り出した。









「うぉおぉおおお!!柚ちゃぁああああん!!」


「俺が柚ちゃんを取る!!!」


「おれだぁあああ!!!」



2、3組の騎馬が雄叫びを上げながら突進してくる。


(取るのはハチマキだよ!?分かってるのかな…)



「来るぞてめぇ等!柚!!」


「「オス!!」」


「任せて!」



藍原くんの声に反応して島田くんと江島くんの目つきが鋭くなった。

藍原くんはそれよりもずっと怖い顔つきで周りを威嚇している。

そしてボクは腰に備え付けておいたヌンチャクを構えた。



「なっ…!!ヌンチャク!?」


「渋い!…じゃなくて反則だよ柚ちゃん!!」


「そ、そうだぜ!!」



藍原くん達に睨まれて動きを止めていた敵の人たちはヌンチャクを見て抗議の声を上げる。




『あ、そうそう!!言い忘れてたけど身長が168cmに満たない生徒は武器の使用を認めてるよー!!』



「はぁ!!??」



『もちろん刃物とかはダメだけどね。バットとかヌンチャクとか三節棍はオッケーだから』


「ンだそりゃあ!!」


「せけぇぞ!!!」



タイミング良く説明をしてくれた宇野先輩達に感謝しなくちゃ。

…どーせボクはチビですよ。




「さーて…いっちょかましたれや、柚」


「「ファイトです柚さん!!」」


「うん!!修行の成果、見せてあげるね!」



ボク等はニッコリと笑って、青ざめた顔の敵さんに向かって走り出した。







「「「ぎゃぁあぁぁあああああ!!!!!!」」」






















楓先輩…見てくれてますか?



何日か前に、楓先輩の怪我を目の当たりにした時…ボクは相手の奴を呪い殺そうかと思いました。

結局、半泣きしちゃったけど…やっぱりボクはもう楓先輩の傷ついた所なんて見たくない。



その為に






もっと…もっと強くなります…楓先輩。






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