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6時だよ!全員集合ー!







夕方6時。

日が暮れかけ、春といえまだ肌寒い。
温泉やら卓球やら(萌えやら)様々なものを堪能し、俺たちは指定された場所へと向かった。

そこには既にたくさんの生徒が集まっており、今から何をするのかと、そわそわしている。







「うし、全員集まったな」



浴衣姿の飯島が辺りを見渡しながら大きく頷く。
その多くは、飯島の浴衣姿に騒ぎ立てている

風呂上がりか…結構じゃねぇの。
俺としては成川くんの浴衣姿を攻めズ達が見て良からぬ妄想でもして欲しかったがな!


「なぁなぁ椿!」

「ん?」

「あ、と…えーとさ、そのー…」


いつも堂々としている成川くんがしどろもどろとした様子で口をぱくぱくとさせる。

何か言いにくい事なんだろうか?
というより、そういう可愛い仕草は俺以外にして欲しいな全く。


「きょ!」

「……きょ?」


「今日、椿と寝たい!」





…………ん?



「いやぁあああ!!!!オタク何言ってんのよぉお!!!」

「成川てめぇええ!!!」

「おいどういう事だ雫!!俺という者がありながら!」

「はぁ!?誰がオメーのだ!!」

「東雲様を誘うなんて身の程知らずもいいところだよ!!!!」

「んだとコノヤロー!!!」


ぇ、ぇえ〜…

何これどういう事?
俺がいけないのコレ?

近くで聞き耳を立てていたチワワ軍団やらガチムチ体育会系(?)や、何故か会長までがいきり立ち始めた。

それにしても今の会長の発言はGJだ。
よく言った。


「おーいそこ喧嘩してんなよ…まぁいいや、とりあえず今から3人組に分かれてもらうぞー」

「3人組…?」

「3P…?」

「黙れ椿」


怪訝そうに呟いた武の横で同じように呟くと怒られた。
解せぬ。


「先生ぇ〜何やるんですかぁ〜?」
「ゲーム?」
「楽しそーう」
「でも結構暗いよね、外」


確かに、6時を過ぎた辺りから徐々に日が落ち始め、あと10分もしないで完全に日が暮れるだろう。

しかも俺たちが集まったのは周りを森に囲まれた広場。

ゲームをするにしても限られているハズだ。


「まぁまぁ、そう焦るな。じゃあ名前呼ぶからそれとなくチームごとに集まれよ」

「自由じゃないんだ…」

「収拾つかなくなるからな」


そりゃそうか。
自由にしたら会長とか生徒会やらに集中しちまうしな。

3人組かー…普通の奴だったらいいけど…

成川くんはもちろん会長と…誰にするか…やっぱ武?
いやいや、やっぱ俺様会長(上辺だけ)に対抗できる副会長でもいいよな。
新歓で成川くんの変装がバレるのも期待できるかもしれん。

あ、でも違うチームだったらイチャコラが見れねぇ!
ちょっ…それは勘弁してくれ。


「………武」

「何だよ」

「お前は今からカメラマンだ。頼んだぞ、武カメラマン」

「……………意味がわかんねぇんだけど」


そっと武の手に、小型カメラを握らせると、光の速さで俺のポケットへ戻した。

……解せぬ。





















「よし。3人組に分かれたな」


………うん。
分かれたには分かれたんだが…


「うーわー何で璃人ちゃんと一緒なのかなー…?」

「……こっちの台詞だ死ね」

「語尾に恐ろしいのついてるよそっちが死ね」

「お前がもっと死ね」


従兄弟同士という事実が発覚した璃人さんと須藤さん。
璃人さんのキャラ的な問題で、小声で小競り合いを繰り広げている。

いやね、人目を気にせずに至近距離で睨み合う(いちゃつく)のもいいんだけどね?


「………あのー…俺を挟まないでくれませんか…」

「ぁ、ああ…すまない椿く」

「やだなぁ〜椿くんと俺の仲じゃないか!!」


そんな仲になった覚えはねーよ。

はぁ…璃人さんならまだしも、まさか須藤さんと同じチームだなんて…面倒なことになった。




「てめぇええ!!引っ付くんじゃねぇゴラ!!」

「あっはー!イイよイイよその反応!」


少し離れた所から会長の怒号が響く。
そしつもう一人の声を聞いた時、寒気が走った。
変態という名の変態アホ教師だ。

その変態(小島)が会長の腰にしがみつき、恍惚な表情を浮かべながらよだれを垂らしている。

アウトだ。
誰かあの顔面にモザイクを貼り付けてくれ。


「ツー君も晋ちゃんも流石この僕が目をつけただけあるよね!」

「ツー君!?」

「晋ちゃん!?」


悍ましい呪文を思わず聞き返すと、会長と見事なまでにハモった。

何だよツー君って…!
どこのマフィアのボスだよ。
ていうか晋ちゃんってどこのテロリスト?
昔は可愛かったってかコノヤロー。


「ハッ!ツー君!これは違うからね!?僕は君の事も大好きだか…」

「んな心配してねーから!!」

「がふっ…!!!」


目ざとく俺の姿を発見し、一直線に俺へ駆け寄ってきた変態(小島)に踵落としをすると、綺麗に地面へと沈んだ。

暖かい拍手ありがとうみんな。


そうか…会長もこいつのターゲットだったんだな…
同情の眼差しを送ると会長は悟ったように遠い目で笑いながら親指を立てた。






「――さて、害虫も駆除したことだし、楽しいゲームを始めるか!」



この時の飯島の素晴らしく爽やかな笑顔はきっと皆の心の奥に響いているだろう。






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あきゅろす。
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