[携帯モード] [URL送信]

ストレンジ・デイズ



「つーかさ、何でこんな奴が生徒会長になれるわけ? 校則違反の見本みたいな奴じゃねえか」

輝くばかりの金髪にピアスの穴。悪そう。てか怖そう。

「ウチの生徒会は立候補ってのがなくて、生徒の投票で決まるから。必然的に人気のある人が選ばれるのよ」

「ええ? それって拒否権あんの?」

「ないわよ」

唄子があっさり言い放った言葉に、俺は呆気にとられた。だってそんなの強制じゃん。

「そのかわり生徒会役員には特権があって、多少の校則違反しても許されるの。だから夏川先輩の髪があんなことに」

「…ああ、なるほど」

彼がマナー指導対象にならない理由はわかったが、生徒会に変な特権与えるのはやめた方がいいと思う。学校の品位を疑われる。

「で、お前はその夏川会長と俺を付き合わせたいんだ。何で?」

「そりゃーもう王道ですから」

先ほどから連発される王道という言葉に俺が頭をひねっていると、唄子はなにやら胸ポケットから手帳を取り出した。そしてその手帳をすらすらと読み始める。

「2年A組夏川夏、生徒会会長。成績はいつも学年次席。その美しすぎる容姿とカリスマ性で学園の皆をまとめあげている。なお性格はかなり独尊的で自分の物にならない物はないと思っている」

「へぇー…って何その手帳」

俺がそう尋ねると、唄子はニヤリとずる賢そうな笑みを浮かべ、ハンドサイズの手帳を突き出した。

「ここにはこの学園のいい男の細かいデータが入ってるわ。あたしの努力の結晶」

「…すげぇな」

その才能を何か別のことに使えばいいのに。

「蛇足としては、夏川先輩にはたくさんの恋人がいて、飽きたら捨てるって行為を繰り返してるみたい。なんでも自分が気に入った相手はどんなことをしても手に入れるんだって」

「…最低野郎じゃねえか。何でそんな奴が人気あるんだよ」

俺の罵倒に唄子はじとっとした目を向けてきた。何だよ、ホントのことだろ。

「わかってないなぁキョウちゃん、彼は完璧よ! まさにBL界からそのまま出てきたような俺様生徒会長! これ以上の素晴らしい人材はいない!」

「素晴らしい、ねぇ…」

パンフレットを広げた俺は唄子推薦の夏川をもう一度よく見る。やっぱりただの素行の悪そうな生徒にしか見えん。ってかこんな顔してホモなのか。そればかりが頭に浮かぶ。

「…なんかさ、アレだよな、コイツ絶対いつかヤバい奴の恨み買ってボコボコにされそうだよな」

唄子に、なんてことを、とでも言いたげな顔をされた。人をそんな野蛮人みたいに見るな。

「夏川君は大丈夫よ! なにせ喧嘩がめっちゃくちゃ強いから。なんでもデフの連中からも一目おかれてるんだって」

「は? そうなの?」

笑顔の唄子は誇らしげに頷いた。確かに夏川は平気で人のこと殴りそうな顔をしている。

「キョウちゃんが興味ないのもわかるわよ。夏川先輩は綺麗だけど、香月さんみたいな超高レベルな美形がそばにいたら、そりゃ感覚麻痺するでしょうし。でもでも、キョウちゃんには会長とくっついてもらわないと、あたしの夢の総受けライフが!」

お前の夢のために何故に俺が犠牲にならなければならない。第一なんでそこに香月が出てくる。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!