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03



「エドガー!!」


優の声にも襲い掛かってきたルカにも動揺する事なく、エドガーは紫煙を吐き出して煙草を足で揉み消すと白衣の下から小型の銃を取り出した。標準がルカに定まる。


「!」


危険を察知し、ルカはそのまま空中で体を大きく捻ると、軽々とエドガーの頭上を飛び越えていった。一瞬遅れて、先程までルカのいた地点を弾丸が駆け抜ける。


「ひゅうっ、やるねぇ」

「きゃははっ!おっさん、やるじゃん!只のおっさんじゃないんだね!」


先程までとは打って変わって嬉しげに笑い、ルカは得物を回転させた。


「殺り甲斐あるなぁー!すぐ逝っちゃったらつまんないもんね!」

「やる気満々なとこ悪いんだが俺死ぬつもりはないぜ?」

「おっさんの都合なんか知らないよ。あんたに選択権は無いんだから!」


ルカの周囲で再度魔力が高まり、具現化した闇が優達に牙を剥いた。


「また来たヨ!」

「…応戦だ!」

「了解!」


散り散りになり、優達は大地を蹴った。


「行きますわよ!──天誅!!」


アナスタシアの槍が大地を粉砕する。跳ね上がった破片はルカの視界を奪い、その隙にアナスタシアはルカの横から周り込んだ。


「わーお、ビビったぁー」

「…やりますのね!」

「始祖だもん!当然でしょ!」


手首を回転させ、ルカは難なくアナスタシアの一閃を受け止める。
その背後からシンが躍り出た。


「消えろ!」


轟音と共にルカの頭上に稲妻が落ちる。だがそれは、ルカに触れる寸前、彼女の周囲を取り囲んだ闇に呑まれるように消えていった。


「!」

「きゃははっ!やっぱあんたの力なんてそんなもんか!」


思いっきりルカが弾いた事により、アナスタシアは軽々と吹き飛ばされた。それでもアナスタシアは受け身を取る事に成功し、離れたところでルカの動向を探っている。

ルカを取り囲んでいた闇は霧散していき、その下でルカは嘲笑を浮かべている。


「まっ、仕方無いよねぇ。だって、あんた“紛い者”だもん」

「紛い、者…?」

「あれ、知らないの?本当に?本当に?──きゃはははっ!何それ、超ウケる!」


腹を抱え、狂ったようにルカは哄笑した。


「まっ、そうじゃなきゃ異端審問官なんかやってらんないかぁ。…くくっ、ヤバい…──きゃはははははっ!」

「…っおい、どういう意味だよ!」


たまらず叫んだシンの前でルカの笑いは収まらない。


「きゃははっ!あたしは何にも教えないよ!知りたかったら自分で調べたら!?」


笑いながら再度ルカは得物を回転させたが、不意にその口元が嬉しげに歪んだ。
空を仰ぎ、ルカは笑う。


「わーお、女神様ー!」


逆光を背負い、上空から踊りかかる優。


「ルカ!!」


優の神器とルカの神器が激しくぶつかる。噛み合う刃の向こう側でルカはひどく楽しげだ。


「女神様、あたしと戦うの?あーあ、いいのかなー。あたし、いくら女神様だからって手加減出来ないよー?」

「そんなんしてもらうつもり、ハナから無いっつの!」


優の周囲で踊る炎が剣先に集中する。


「ルカ!邪魔するあんたが悪いんだからね!」


炸裂する炎。網膜を焼き尽くさんばかりの業火がルカを取り囲んだ。熱風が吹き荒れる。


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あきゅろす。
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