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リコリス
24:秋の話


東では戦争ばかり。

おかげで捜索も危険だからと西にばかり追いやられ、白波には珍しく何度も萩を訪れる結果になっていた。

ちなみに急ぎの捜索には元烏羽軍が小隊を編成して向かっている。

白波としてはそこに着いて行きたいのだが、集団行動のできない奴は近づくなと受け入れてもらえない。

分かっている、子供のころから周りに馴染もうとしてもいろんなことに引きずられ、その度にいろいろ空振りしまくっていた自分は生まれた時からワンマンプレーがお似合いだ。今ならうまくやれる自信はあるがしかしもう彼は若くは無い。

そしてそんな具合に若干落ち込みしょぼくれて一人でいるところを松陽に引っ張ってこられるのがここ最近のパターンだ。



まあ。それはそうと、食べ物のおいしい季節がやってきた。

道々に持たされるお土産も食べ物系が多い。

松陽の生徒たちの胃袋に収まる予定である菓子を片手に白波はまた村塾へと足を踏み入れた。



「はい約束のお品ですよ銀時君。江戸限定キャラメルコーンいちごミルク味10袋」

「きゃっほい!」

「銀時君は甘味が絡むと瞳がキラめきますねぇ。できれば独り占めはせずにしておいてくださいよ。あ、でもちゃんと皆さんの分もありますよ。生ものはどうにもなりませんが、圧縮とか密封した加工ものならどうにか江戸からここまで持ってきても大丈夫っていうのは天人の技術さまさまですよねー」

「白波さん。私の分は?」

「松陽さんあんたもか」

「採りたての栗と筍と交換でお願いします」

「これだから田舎は帰りの荷物のほうが重いんだ。山椒と茸の雑炊を付けてください」



そんなこんなで秋も開始である。


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