見える先に向かうだけ!
タイトルつけるのが一番苦手
「……何言ってんだよ親父」
呆れ顔で慶治が部屋から出てくる。
祐樹は固まったまま意識だけ背に向けた。
「お前の話を聞く前に連絡があったからな。……いつも突然来るから特に驚きもしねーけど」
「つまらなくなったな、慶治」
「親父がいつまでも面白いだけだ」
そう言って親子は不敵に笑みを浮かべた。
とりあえず祐樹は祖父を家にあげて、またソファに腰かける。
「で、なんでじーちゃんが家に?」
「そりゃお前がわしに電話するからじゃろ…ああ、ありがとう」
祖父は母に出された茶を受け取り、礼を言う。
……祐樹が電話することを知っていたことには、あまり驚かない。
未来予知で見たのならば不思議なことは一切ないから。
「でも電話でもよかったんじゃ?」
「いや、いつもはそれでもいいが今回はわしがいないと達成できんからな。……【守護者】に関してはな」
やっぱり知ってるか、と祐樹は呟く。
それならば話は早い。
「どこに、何人くらいいるんだ?会わせてほしい」
「じゃあまずは真乃華を呼び出してくれ」
「!?」
(し、知ってるのか!?)
祐樹がやっと驚いたリアクションを取った。
その様子を見て満足そうに覇狗は笑う。
両親は知らないらしく、首を捻っていた。
「ま、真乃華」
祐樹が呼び出すとパッと目の前に真乃華が現れる。
彼女は珍しく嫌そうな顔もせずそこにいた。
「久しぶりだな」
「ああ、久しぶりじゃな。無名の神よ」
ただ祐樹の方へ振り返らず、彼女は覇狗に向かって言った。
「知り合い…なのか?」
「まあな、苦楽を共にした元パートナーじゃ。そして今は守護者の教育をしている」
「うむ」
覇狗の紹介に真乃華は頷く。
守護者の教育。
つまり守護者全員を知っている……?
祐樹は眉をひそめた。
「奴と対峙するのならば守護者を集めなければならない。そして祐樹、お前には彼らを集めてもらわねばならん」
奴。
つまりゆうきのことだろう。
訝しげに呟く真乃華は、何か嫌そうだった。
「いつから集めにいく?」
「明日からでいいじゃろう。早ければ早いほど訓練が早くできる」
「そうじゃな、早速明日から行こう」
「待って、今どっちが話してるかわからない」
明日から、を提案したのが覇狗。
同意したのが真乃華だ。
「良いではないか、あにめやまんがになればそんなもんすぐわかるじゃろう」
「そうとも。しかしわしがアニメか……声優は永井一郎とかにしてもらいたかったのぅ」
ばかもーん!とか言って鰹を叱ってみたりな。
結構ハマると思っていたのになぁ……。
「そんなことはどうでもいい!!明日!どこの誰に会うんだ!」
「茜空高校を知っているか?」
「……ああ、知ってる。知り合いが二人そこにいるから」
茜空高校。
雨ヶ崎高校より北にある高校だ。
電車で20分ほどでそれなりに近い気もするが、普通車両の電車では40分くらいかかるため遠い。
「その近くに【稲妻雷】が住んでいる。彼にまず声をかける」
「稲妻雷……どこかで聞いたな」
祐樹は目をつむりは、思い出すことに専念する。
稲妻…雷……電気。
祐樹の愛用する能力のひとつに電気を操るものがある。
それを教えてくれた……。
「あ!ライくんか!」
「うむ。雷を含めて五人新しく会わねばならぬが、雷以外はすぐには会えぬからな」
「じーちゃんはその準備、ってこと?」
「そうじゃ。わしが三日後にまた一人会えるように話を進めるから明日、雷に会うのじゃ」
そして真乃華は直接会ったときに対応するのか。
彼女に確認を取ると、黙ったまま頷いた。
「…しかし予言者マーティンよ。わしは四人までしか知らぬぞ」
「え、マーティン誰だ!?」
真乃華が口を開く、が誰のことかわからなかった。
「そいつに関しては少しイレギュラーじゃからな。時空間のねじれというか……そんな感じじゃ」
「マーティンってじーちゃんかよ!!」
「かっこいいじゃろ」
「まあまあ!」
そのどや顔に祐樹は怒鳴る。
が、予言者の段階で薄々気付いてたりする。
真乃華になぜそう呼ばれてるか訊ねると、彼女が教えないから自分も教えなかったらしい。
「……では、また明日いくぞ。主様よ」
「ああ」
頷き返すと真乃華は消えた。
祖父は茂たちとホテルを取っているらしいから帰っていった。
祐樹も部屋に戻り、寝る準備を始めた。
両親はリビングで過ごすだろう。
(……なんか一気に進んだな)
1日の内容とは思えない速度だった。
頑張って情報を集めても一週間はかかりそうだ。
真奈美を使って三日くらい……。
「ライくんも守護者か」
指の間にバチバチと火花を散らしてみる。
多分祐樹よりもっと雷が使えるのだろう。
それを吸収して強くなるのだ。
「……よし」
風呂に入るため着替えを用意し、下に降りた。

明日から始まる守護者探しに備え、祐樹は目をつむった。




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あきゅろす。
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