小説 F可愛いくて愛おしい。 徒歩で条と坂道を歩く。 あちらこちらに洒落た民家のようなお店が沢山。 途中で立ち寄った可愛いらしい雑貨屋に寄った。 「あっ綺麗!!」 「なーにが?ストラップかな。確かにベッコウ飴みたいで綺麗だね。」 丸いビー玉サイズの茶が複雑に織り混ざった石。 「うん、これ…条の瞳の色にそっくりだぁ…」 「…っ」 条が黙ってしまった。 「どしたの?」 「だってさぁ…もう俺かなわねー。口説いてる?」 条、耳が赤い。 「うん…口説いてる。」 耳が赤い条が可愛くてからかいたくなってしまった。 「くそー…帰ったら覚えてろよー。」 チラッと僕を見た条の綺麗な瞳は どスケベ仕様になっていた。 「僕これ買おうっと。気に入った!」 「じゃー…俺は…これっ」 条が手に取ったのは僕と色違いの石のストラップ。 オニキスかな… 「すっごい艶がある真っ黒な石。尋の瞳みたいでしょ♪」 もう…こんなとこで何やってんだか… 赤面顔が恥ずかしいからさっさとレジに清算しに行った。 店から出たら早速ストラップをつけた。 2つの綺麗な石が太陽に当たりキラキラ輝いている。 それから少し歩き、ウッド調のお店でハワイアン料理を食べた。 ロコモコって初めて食べた。 今度、条に作ろう。 またブラブラ歩いてお揃いの部屋着を買った。 リゾート地なだけあってハイビスカスの柄。 「さて…電車の時間もあるし美夏さんに挨拶して帰ろうか。」 「うん。すーっごく楽しかった!!」 「良かった。ちょっと色々あったけど…尋が沢山笑ってくれて嬉しかったよ俺も。楽しかった。」 屈託なく嬉しそうに笑う条。 なんだろ…なんか苦しい。 なんか胸がギューッてした。 どうしよう。 今回の旅行での条が可愛くて…愛しくて… まだまだ条を好きになっている。 「どーしよ…」 ぽつりと出てしまった。 「え?」 「ううん。何でもない!!駅弁なに食べようか考えてた。」 「ぷっ今から?ほっそいのによく食べるもんね♪」 ごまかした。 気づかれたら鬱陶しいと思われる。 言ったら重いと思われる。 だってこんな恋をした事がないから。 どうしたら良いかわからない。 [*前へ] [戻る] |