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時の戦士
時の戦士


これは私のかけがえのない親友が書いた日記だ。消える前に私の家のポストに放り込んであった。

それを読めば彼の居場所も分かるだろう。

あえて日付はかかない。頭の中にあるからだ。
1998年9月14日。
カツン カツン カツン

ハイヒールのヒールが床にぶつかる音。
耳障りだ。昔から嫌いだった。

でも、今は嫌いにはなれない。理由は…分かるだろ?

「はぁい。待った?」

ジェリーだ。さっき言っていた耳障りな音の発生者は僕の彼女のジェリー。

ジェリーのせいであの音を嫌いになれなかった。

僕は…アレン・ウェルダン。1998の時は19歳だった。

今日はジェリーとデートだ。久しぶりのね。

「アレン!今日は何をする?」

ジェリーが言った。
ジェリーは茶色のショートカットで、何かおかっぱみたいな髪だ。目はぱっちりと大きく、スタイルもいい。

「ん…ああ、公園で話すか?それとも博物館でじっくりと化石でも見る?」

ちょっといたずらっぽい目をしてジェリーに言う。


「えぇ。今日は遊園地の予定でしょ!楽しみに待ってたのよ。今更止めてちょうだい。」

マジギレ寸前。ヤバイか。ネタばらしする。

「あはは。知ってるよ。ほーら。」

遊園地のチケットをジェリーに見せる。
ジェリーはしてやられたという顔をしてチケットをぶんどる。

またあの音をたてて切符売り場へいく。
カツン カツン カツン

「切符買ったわよ。今から乗りましょうね。」

ジェリーから切符を手渡され、改札を通る。

この時に引き返して博物館でじっくりと化石でも見たら良かった。
公園で将来について話したら良かった。

アナウンスの音がする。

「アレン!ここに並ぶんだって。一番前よ!座れるわね。」

にこやかにジェリーは笑ってた。これから起こる自分の運命を知らずにー。

プーップーッ

電車が来る。

今まで後ろを向いていたジェリーがくるりと前を向いて僕に何か言おうとした。

「ア-」

その瞬間ジェリーは消えた。いや、正確には誰かに突き飛ばされた。
ブロンドの髪をした昔の服を来た男に突き飛ばされた。

ジェリーの体は線路に真っ逆さまに落ちていった。電車がタイミングよくジェリーにぶつかる。
血飛沫と肉片がアレンとアレンの周りにいた人にかかる。

だれかおばさんが悲鳴をあげた。

きゃぁああー!

僕はジェリーを助けようと手をさしのべた。線路に飛び込むぐらいに体を乗り出して。

しかし、僕の体はあのジェリーを突き飛ばした犯人に引き戻された。

「アレン、危ないよ。命は大切にしようね。多分彼女は無理だよ。」

「てめぇ!ジェリーを…!」

「ふっ。残念だ。ジェリーさんは肉塊に戻るんだ。死体はジェリーじゃない。血まみれのミンチ肉さ。」

あははと高笑いをしながら男は消えた。

アレンはそこに一人取り残された。
「クソ…。畜生!」

泣きながらプラットホームの床を叩き続ける。

ジェリーは死んだんだ。その日から僕は…僕の時間を止めた。



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あきゅろす。
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