紘六×成紀 「ありがとな」 と言い頭を下げた。 礼をした感じだ。 (ヤッベェ〜!告るタイミング間違えた?てか俺テンパりすぎだろ) 成紀君も成紀君で何も言わないし。 俺はてっきり、何馬鹿なこと言ってんだよ? 的なことを言われると思っていたのでちょっと拍子抜けした。 沈黙がながれる。 (な なんか言ってくれよ) なんかもういろいろ イタくて俺は半分泣きそうになっていた。 というより、どのタイミングで頭上げようかな.... なんて考えていると ふっと成紀君が俺の真ん前まで近づいた。 俺が驚いて顔を上げた瞬間 成紀君の指が俺の学ランの詰め襟をひっぱり上を向かせ、そっと自分の唇で俺の唇をふさいだ。 唇の温かい感触 不意打ちに俺はワケがわからないでいた。 とにかく、背中に両手をまわそうとしたが、それはかなわなかった。 成紀君が急に俺から離れたからだ。 目が合う。 その目がどこか泣いているように見えた。 「ありがとな」 成紀君はそれだけ言うと 走って行ってしまった。 立ち尽くす俺の目から涙がこぼれ落ちた。 [*前へ][次へ#] |