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世界が終わるその時まで
違う出会い





俺は10年分鍛えた記憶があり

たとえこの体が鍛えられていなくても、ダメツナにはならなかった




山本の一件は、俺の演技でなんとか終わった

獄寺くんが来るのが少し早かったのは驚いたが、今も昔も変わらず慕ってくれている





あとは、恭弥さん





俺は会いたくて会いたくて仕方が無かった

恭弥さんは俺が愛した人だった



思いを伝えたことはないが、想っていた



会って触れて、声を聞きたい

怒った顔や笑った顔、いろんな表情をもう一度見たい



















俺は獄寺くんたちに隠れて、授業を抜け出した

きっと心配しているだろう



屋上で寝転がって空を見上げる



空にはいつも雲がついている

いつも同じ雲とは限らない

同じように見えて、実はすごく分かりやすく変わっている



「君、授業中に何やってるの」

「きょ、恭弥さん!?」



俺の視界に黒いものが入ってきた

10年前の恭弥さん


昔の俺はかっこいいとか、憧れとか思っていた

今の俺では、今の恭弥さんがかわいく見える



「馴れ馴れしく人の名前呼ばないでくれる」



ポカッと仕込みトンファーで殴られた

痛いはずなのに、すごく嬉しい

今のこの時間が幸せだ



「ごめんなさい・・・」



すぐに起き上がる



「君、名前は?」

「沢田綱吉です」



前とは違う出会い方

俺は今でも忘れない

貴方へのこの思いを



「今日は、うるさいのがいないね」

「え、あ・・はい。いつも一緒とは限らないので」



”今日は ”・・・もしかして恭弥さん俺のことを見ていた?



「ふぅん、まぁいいや」



そういうと恭弥さんは、仰向けに寝転んだ

すぐに寝息が聞こえ、寝たことが分かった


俺は音を立てないように恭弥さんに近づいた

起きてしまうだろうと思っていたが、我慢できずに髪を撫でてしまった



恭弥さんはまだ起きてない



「クスッ・・・恭弥さんかわいいです」



寝顔を見て、にんまりしてしまう


頬を触るとすべすべで手が滑ってしまう



「恭弥さん、先に逝ってしまってごめんなさい」


チュ・・・


額に唇をつけた


何の意味を持たないキスと言葉だけど・・・






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