雪少年
記憶
気がつけば凍っている男と恭弥
自分でやったのにわからない
冷静を保っていられない
「うっ・・・うううっ」
楽しかった日常が
人間と溶け込めていた日常が
ほんの些細なことで
崩れていく――
『この化け物っ!』
『お前達妖怪は俺達を食うんだろ!?』
『この化け物に死を』
「人間と共存することなんかできないんだ・・・。
俺は化け物だから・・・。」
『それは違うぞ』
「っ!」
頭の中で誰かの声がする
記憶の一部
前にもこんなことを言った気がする
『お前は化け物なんかじゃない。ただのかわいい子供だ』
『お前が人間に触れてもいいように手袋を作ってみたのだが、どうだろうか?』
誰
誰だか思い出せない
ゆっくりと記憶が戻っていく
『お前は今日から沢田綱吉だ。いいな?』
『む、私か?私はジョットだ』
「・・・ジョット」
紙に書いてあった優しい人
そうだ、俺が人間に殺されそうになったところを助けてもらったんだ
俺に唯一優しくしてくれた人
どうして・・・
どうして忘れていたんだろう
どうして憎しみを思い出してしまうのだろう
俺の記憶が占領しているのは恭弥
俺にとって恭弥はジョット以上の存在だったのだ
憎しみをも忘れかけていた
幸せだと思っていた
毎日が幸せだと
「恭弥を助け・・たい」
俺は恭弥を助けたい
氷を溶かしてあげたい
そして、何も罪のなかった男の人たちも
「俺が・・・元に戻す」
待ってて恭弥
俺がしてしまったことは許されないだろう
恭弥が元に戻ったとき、俺は恭弥から消えるかもしれない
だけど寂しがらないで、幸せな気持ちでいて
この罪は決して許されないもの
否
俺が許さない
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