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呑みかけのグラスすら愛しい






「ねぇ、ボスどこ?」

「知らないよ」



勝手に部屋に入って来たキアロを気にする訳でもなく、マーモンは答えた

ちょうどお茶の時間だったのか、その手には小さなティーカップが握られていた



「スクアーロには聞いたの?知ってるかもよ」

「スクも居ない」



キアロに耳が付いていたら、ぺったりと垂れ下がっていたことだろう

捨てられた子犬のように探しているのは母親なのか、飼い主なのか

マーモンは仕方ないというようにカップをテーブルに置くと、ひとつ助言をした



「ボスの部屋で待ってみたら?下手に動くとすれ違いになるからさ」

「そっか、うん。ありがとうマーモン」



どうして思いつかなかったんだろう!

待つ、そうだ、待ってればいいんだ!



「もし急な仕事なら、今日は帰らないかも知れないけど‥‥‥って、もういないか」




―――――――――




ボス、帰宅。


ザンザスが部屋に入ると、人の気配がした

殺気はない

ザンザスが戻って慌てる様子もない



「‥‥‥‥」



ソファを覗き込むと、キアロが寝ていた



「‥‥‥なんで居る?」



今日はこいつに仕事はやってない

従って報告する案件はない



「‥‥ボス‥‥‥」



寝言だったのか、キアロが起きる様子はない

ふと、キアロの手元に目がいった



「グラス?」



なんでンなもん持ってやがる?

不思議に思ったが、キアロが変なのは今に始まったことではない

追い出すのも面倒なので、ザンザスはキアロを放置した




ボスが好き過ぎて困る話し。

(部屋に残ってた飲みかけのグラス。ボスが使ったものなら、それだけで愛しい)




2009.7.24.


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