カス犬と呼ばれたい!
「おい、カス鮫」
「あ゙あ゙っ?テメーその呼び方止めろぉっ」
ヴァリアーの仕事は大体このやり取りから始まる
おかしいが、これで始まる
そして今日はそこにキアロが加わるから更におかしなことになった
XANXUSに朝の挨拶をしようと訪れたキアロは、ちょうどこの会話を聞いたのだ
この会話のどこにキアロが反応したか、このお話しのタイトルを見れば分かるだろう
部屋に侵入したキアロはXANXUSに向かって走り出す
「ボス!これもカスって呼んで!」
「またテメーは何言ってやがんだぁ!」
スクアーロに襟首を掴まれて、XANXUSへの接近を阻まれた
頭から怒鳴り散らされながらキアロも負けじと主張する
「朝から変なことばっか言いやがって!ふざけてんのかぁっ!?」
「やだ!ふざけてない!スクばっかり狡いの!愛称(!!?)付けて貰ってるなんて狡すぎる!だからボス!これにもカスってつけて!!」
激しく言い合いながらキアロとスクアーロは取っ組み合い
そのときXANXUSはどうでもいいと思っていた
別に愛称としてカスを付けている訳ではないと説明する気もないし、キアロにカスを付けようが付けまいが何か変わる訳ではない
だが懇願するキアロを見ながらXANXUSは抗えない何かを感じる
「ボス、お願い」
「‥‥カス犬。これで満足か」
そのたった一言に、キアロは笑った
XANXUSだけに向ける笑顔
XANXUSの為だけの笑顔
「ありがとう、ボス」
「!」
軽い衝撃、眩暈、次に衝動
最後の衝動だけは腕の中に押し込める
じゃあねと言って部屋を出ていくキアロを見送った
そしてふとスクアーロがXANXUSの様子がおかしいことに気付く
書類を握りつぶしている
「う゛ぉおい、テメーその書類」
―ボンッ
一瞬にして灰燼と化した書類が床に落ちていくのを、スクアーロは呆然と見つめた
(テ、テメー!?)(‥‥‥‥)
(何とか言えぇ!それ、まとめるのに何時間かかったと思ってやがんだぁ!!)
(えへへ、ボスにカス犬って呼んでもらった♪)
2009.3.27
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