[携帯モード] [URL送信]
愛したら、愛されることでしか幸せになれない








「ボスっ、これを愛して」




「好きだと言って、お願い」





愛されたくて、愛されたくて、死んでしまいそう


ボスに愛して欲しいの

ボスに愛されたいの

ボスじゃなきゃ駄目なの



愛したら愛されることでしか幸せになれない

なんて知りたくなかったよ、こんな真実


いくらキアロが愛を叫んでもXANXUSには届かなかった

泣き崩れたキアロに振り返りもせずにXANXUSは去っていく



「ボスっ」



叫んで、叫んで、叫んで

キアロはやっと目を覚ました

体中がじっとりと汗ばんでいた



ひどい、夢

本当に夢なのかと思うほどにその夢は現実的で、キアロは自分の体を抱いた


しばらくそうしてからシャワーを浴びると、報告書の為にXANXUSの部屋に向かう

そこにはレヴィが居た



「?どうした?顔が青いぞ」

「何でもない。レヴィ、これボスに渡して」



普段なら他人の報告書さえ持っていくキアロが言った言葉に、レヴィは酷く動揺した

もう既にこちらに背を向けたキアロにかける言葉が見つからない


仕方なくレヴィはXANXUSに報告書を渡す



「‥‥‥アイツはどうした」

「それが、ボス、青い顔をして俺に報告書を」



それ以上XANXUSは何も言わなかったのでレヴィも何も言わなかった


その頃キアロは屋敷内をうろついていた

今日はベルもマーモンもスクアーロもルッスーリアも任務で居ない

あの夢のせいでじっとしていられなくて、キアロは屋敷中をウロウロした



「‥‥‥‥‥」



ある部屋の前で立ち止まってみる

XANXUSの部屋だ


どうしよう、会いたいな、でも夢みたいに拒絶されたらどうしよう?

嫌いって言われたらどうしよう?

もし言われたらどうしたらいいんだろう?



天使



天使が言った

新しい世界のことと、愛を見せてあげてってこと



「ボス」



少しだけドアを開いて中を覗く

XANXUSは椅子にもたれかかって瞳を閉じていた



「ボス」



中に入って近付くけれど、XANXUSは動かなかった



「‥‥‥ボス」



寝てるの?

椅子の脇まで来るが、XANXUSは微動だにしなかった

本当に、寝てる?



ぺたん

椅子の左側に座り込んで、キアロも瞳を閉じた

寝てたら、追い出したりしないよね



「ボス、好き」



呟いて、肘掛けの手に頬を寄せて

ふっと頬を撫でられる



「!」

「‥‥‥‥‥」






もう、ひとりじゃないよ

だから愛を見せて





2009.2.5.

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!